コラム

 公開日: 2017-06-06 

精神の障害の等級判定ガイドラインについて

障害年金は「障害認定基準」と言う基準に基づいて、受給できる障害の状態にあるのか判定されます。

「障害認定基準」は、日本年金機構のホームページから見ることができます。

しかし、その基準があるにもかかわらず、障害年金を請求したが、不支給と判定された件数の割合が都道府県によって違っていました。

私の出身の栃木県は、受けやすいけど、◯◯県では受けにくいと言う状態です。

この状態は、「精神障害・知的障害」でその傾向が現れました。

この不公平を是正するため、専門家検討会が開かれ、「等級判定ガイドライン」が策定されることになりました。

このガイドライン では、障害等級の判定について、

『障害等級の目安』を参考としつつ、『総合評価の際に考慮すべき要素の例』で例示する様々な要素を考慮したうえで、認定医が専門的な判断に基づき、総合的に判断する。

と規定されています。

今までも、もちろん、認定医が専門的な判断に基づき判定していましたが、このガイドラインで、『障害等級の目安』『総合評価の際に考慮すべき要素の例』と言う考え方を取り入れて、統一的な判定ができるようにした訳です。

では、『障害等級の目安』『総合評価の際に考慮すべき要素の例』とはどう言うものなのか。

『障害等級の目安』

障害年金には、障害年金独自の診断書があります。

精神障害・知的障害で障害年金を請求する場合は、精神疾患用の診断書を用います。

精神疾患用の診断書の裏面に、『日常生活能力の判定』と言う項目と『日常生活能力の程度』と言う項目があります。

『日常生活能力の判定』とは、

①適切な食事
②身辺の清潔保持
③金銭管理と買い物
④通院と服薬
⑤他人との意思伝達及び対人関係
⑥身辺の安全保持及び危機対応
⑦社会性

の7項目 について

①できる

②自発的はできるが、時として助言や指導を必要とする。

③自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる。

④助言や指導をしてもできない若しくは行わない。

上記、①〜④のどれに該当するか主治医に診断してもらうものです。

もう少し具体的に言いますと、

①適切な食事
三食、きちんと栄養バランスを考えて適量を料理して食べられますか?

②身辺の清潔保持
必要に応じて(週1回くらいは)自主的に掃除や片付けができますか?

③金銭管理と買い物
自主的に計画的な買い物ができますか?

④通院と服薬
飲み忘れ、拒薬、大量服薬をすることはありませんか?

⑤他人との意思伝達及び対人関係
誰に対しても自分から話し、自分から友人をつくり、継続して付き合うことができますか? 孤立しませんか?

⑥身辺の安全保持及び危機対応
非常事態に対してパニックになってしまいそうではないですか?

⑦社会性
周囲の状況に合わせて適切に行動ができますか?

この問いに対して、独り暮らしをしていると仮定して「できる」のか「できない」のかを診断するものです。

「独り暮らし」がポイントです。

また「助言又は指導」とありますが、介助は含みません。

やってあげれば「できる」と言う考え方ではなく、口で言われて「できる」のか「できない」を診断します。

『日常生活能力の程度』とは、

①精神障害(病的体験、残遺症状、認知障害、性格変化等)を認めるが、社会生活は普通にできる。

②精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が必要である。

③精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。

④精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。

⑤精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。

上記、①〜⑤のどれに該当するかを診断してもらうものです。

この『日常生活能力の判定』と『日常生活能力の程度』の組み合わせによって、どのくらいの等級になるのかの目安を定めるものです。

診断書において『日常生活能力の判定』と『日常生活能力の程度』についても重要な項目になりますので、医師と良く話し合って診断してもらってください。

『総合評価の際に考慮すべき要素の例』

①現在の病状又は状態像
②療養状況
③生活環境
④就労状況
⑤その他

上記、5つの分野について、等級判定するに当たって検討事項を定めています。

①現在の病状又は状態像

統合失調症について、陰性症状(残遺状態)が長期間持続し、自己管理能力や社会的役割遂行能力に著しい制限が認められれば、1級又は2級の可能性を検討する。

気分(感情)障害について、適切な治療を行っても症状が改善せずに、重篤なそうやうつの症状が長期間持続したり、頻繁に繰り返している場合は、1級又は2級の可能性を検討する。

②療養状況

入院時の状況として、病棟内で、本人の安全確保などのために、常時個別の援助が継続して必要な場合は、1級の可能性を検討する。

在宅での療養状況として、在宅で、家族や重度訪問介護等から常時援助を受けて療養している場合は、1級又は2級の可能性を検討する。

③生活環境

独居であっても、日常的に家族等の援助や福祉サービスを受けることによって生活できている場合(現に家族等の援助や福祉サービスを受けていなくても、その必要がある場合も含む)は、それらの援助のの状況(又は必要性)を踏まえて、2級の可能性を検討する。

知的障害・発達障害の場合、

在宅で、家族や重度訪問介護等から常時個別の援助を受けている場合は、1級又は2級の可能性を検討する。

入所施設において、常時個別の援助が必要な場合は、1級の可能性を検討する。

④就労状況

就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)及び障害者雇用制度による就労については1級又は2級の可能性を検討する。
就労移行支援についても同様とする。

障害者雇用制度を利用しない一般企業や自営、家業等で就労している場合でも、就労系障害福祉サービスや障害者雇用制度における支援と同程度の援助を受けて就労している場合は、2級の可能性を検討する。

知的障害の場合、

一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労も含む)でも、仕事の内容が保護的な環境下での専ら単純かつ反復的な業務であれば、2級の可能性を検討する。

一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労も含む)でも、他の従業員との意思疎通が困難で、かつ不適切な行動がみられることなどにより、常時の管理・指導が必要な場合は、2級の可能性を検討する。

発達障害の場合、

一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労も含む)でも、仕事の内容が保護的な環境下での専ら単純かつ反復的な業務であれば、2級の可能性を検討する。

一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労も含む)でも、執着が強く、臨機応変な対応が困難であることにより、常時の管理・指導が必要な場合は、2級の可能性を検討する。

一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労も含む)でも、他の従業員との意思疎通が困難で、かつ不適切な行動がみられることなどにより、常時の管理・指導が必要な場合は、2級の可能性を検討する。

⑤その他

知的障害の場合、

特別支援教育又はそれに相当する支援の教育歴がある場合は、2級の可能性を検討する。

療育手帳の判定区分が中度以上(知能指数がおおむね50以下)の場合は、1級又は2級の可能性を検討する。
それより軽度の判定区分である場合は、不適当行動等により日常生活に著しい制限が認められる場合は、2級の可能性を検討する。

療育手帳がない場合、幼少期から知的障害があることが、養護学校や特殊学級の在籍状況、通知表などから客観的に確認できる場合は、2級の可能性を検討する。

発達障害の場合、

療育手帳の判定区分が中度より軽い場合は、発達障害の症状により日常生活に著しい制限が認められれば、1級又は2級の可能性を検討する。

と言った具合です。

障害年金の決定は、当然のことではありますが「診断書」が命です。

診断書に、これらの状況が記載されていることが重要になります。

この記事を書いたプロ

サポート 障害年金相談室

社会保険労務士 湯澤裕至

埼玉県鴻巣市本町2-2-3 305 フラット九田 [地図]
TEL:090-8432-5603

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