コラム

 公開日: 2016-09-15 

「役員報酬の社会保険料を激減させます」と提案する社労士と付き合ってはいけない理由

「役員報酬の社会保険料を激減させます」と提案する社労士と絶対に付き合ってはいけない本当の理由をご存知ですか?

まずは、年収1200万円なら年間合計で約136万円の保険料を減らせる例を。

役員報酬が毎月100万円、賞与ゼロで年収1200万円。
この場合、単純に月々100万円に対して社会保険料がかかるところを、
毎月の役員報酬を100万円から10万円に減額変更して、かわりに年2回の役員賞与をそれぞれゼロから540万円ずつに増額変更する。

そうすると、年収は1200万円で同じでも社会保険料は年間合計で約136万円減ります!!

ところがコレ、アホのすることだと思っています。私からは絶対に提案しませんし、ヤレと言われても断ります。なにも私が国家資格者だからアヤシイことはしない、というのではありません。フツーの経理マンの視点からも明らかに「超重大リスクまっしぐら」の手法だからです。

ではその「超重大リスク」とは?

大きく2つあります。

まずは税務上の問題点。
(ここは専門的な内容になりますので詳しくは身近な税理士さんにお聞き下さい)

税務署に対する手続きで「事前確定届出給与に関する届出書」という書類を提出すると、毎月の役員報酬を低く、賞与を高く、社会保険料を減らせます。
これによって役員賞与も損金にできます。

ところで、法人税法上、役員給与の「過大」額は損金として認められません。
過大かどうかのポイントはざっくり以下です…
・給与全体の支給状況
・同業他社の役員給与の支給状況との比較

すると前述のような、月額10万円、賞与1回540万円という支払方法は明らかに「異常」といえます。
この金額設定を税務署に「届け出ている」のですから、つまり税務調査で「損金として認められない」というリスクを確実に負うのです。
さらに、法人負担の社会保険料が減る=損金が減る=会社の利益増=法人税増、となることも忘れてはいけません。

そして、社会保険労務士としての警告。

この社会保険料を減らすやり方、実は「標準報酬月額」「標準賞与額」という仕組みの隙をつくことで実現させるのですが、この「標準~」というのは、みなさんが給与から天引きされる健康保険や厚生年金の金額を決めるときの計算根拠として用いているアレです。
会社から年金事務所への届出が義務付けられてて、厚生労働省のデータベースでガッチリ管理されています。
高給取りの人はこの「標準~」が高く設定され、薄給の人は低く設定され、将来、厚生年金を受け取るときの計算根拠となり、在職中に高給取りだった人は年金も高額、薄給だった人は年金も少ないです。
(そんな理不尽な…)

すると、「社会保険料を減らす」ということは、その前提として「標準~」も低く設定するということで、「将来受け取る年金を減らす」設定をしていることになります。

また、仕事以外でケガをしたときに健康保険からもらえる「傷病手当金」や出産のときにもらえる「出産手当金」もこの「標準~」を使って金額を決めますから、同じように「いざというときに受け取る手当金を減らす」設定をしていることになります。

前述の例なら「標準~」を月100万円から月10万円に思いっきり減らしますから、たとえ賞与分が高額になっていても、受け取れるはずの年金や手当金は大幅に減ります。

いかがですか?
それでもあなたは目の前のキャッシュ(社会保険料の削減)を求めますか?

この記事を書いたプロ

山王社会保険労務士事務所 [ホームページ]

社会保険労務士 山王裕之

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