コラム

 公開日: 2012-11-06 

災害後のオフィスでの従業員の就労拒否の取り扱い

会社の建物などオフィス環境が、地震や竜巻等で害される場合があります。災害が一段落すると、いち早く通常勤務を実現しようと従業員に出勤を促すというのが通常です。

台風や少しの洪水などの場合は、オフィスが就労の可能性を検討するほどダメージを受けることは考えにくいと思われます。念のために、オフィスの点検はすべきとは言えます。

しかし、2011.3.11の大地震のような災害にあった場合は、会社の社屋などの点検・確認のうえで就労の指示をするのは、当然行われていたものと推察いたします。

では、緊急の業務等があり、災害のあとに就労の指示を出さざるを得ない場合、会社は従業員を就労させてもよいのか、あいまいな状況のときには考えさせられます。

勤めている会社であっても、少しでも危険がある可能性が考えられる場合、あるいは危険の有無がはっきりしない場合、従業員が就労を拒否することが想定されます。

まず、会社はオフィスの安全確認をする義務があります。同時に、従業員が働いた場合に安全なのかという視点からの確認・配慮が求められます。

通常の場合でも、化学薬品や高所・高温業務、特殊な機械を使用する業務などの場合、危険が付きまとうことから、従業員に対する安全教育を含めて、厳格な安全確保が義務付けられているところです。

これをベースに考えますと、会社が、上記のような安全面からの確認や配慮をせずに、従業員に就労を指示したことに対する従業員の就労拒否について、会社は特に、雇用契約上の違反として問うことはできないと考えます。

たとえば、震度5の揺れのあと、従業員が働いていたら、上から額縁が落ちてきてけがをしたという場合、あるいは、建物の壁にひびが入っていることを確認していながら、大丈夫のつもりで従業員を働かせていたという場合などが想定されます。

前者は、会社への損害賠償問題の対象になりますし、後者は、そのことが原因で事故等が起きた場合には、会社が全面的に責任を負うことにもなりかねません。余震などによる二次災害も考えらなければなりません。

従業員が、身体・生命に重大な危険が及ぶと考えられるときには、業務命令を拒否できると判断した裁判例もみられるところです。

災害後は、会社がしっかり隅々まで点検をし、危険な点が見つかった場合は、近づくことを禁じたり、直ちに修理等の対応をしたりすると同時に、改めて、従業員に安全教育を行い、安全確保措置を施すことが、会社の責任を回避するポイントになってきます。

また、会社は雇用契約の付随義務として安全配慮義務が要請されますが、必要な限りで安全配慮義務を果たしていないと違法性の可能性もでてきますので、非常に重要です。

危険の可能性があるにもかかわらず、安全確保措置をしていないために、従業員が就労拒否した場合、そのことで従業員に対し、賃金減額や懲戒処分などを課すと違法性の問題となります。ここは注意点です。

会社は、通常の場合も安全衛生に気を使わなければなりませんが、災害後はいっそう求められることになるわけです。

(2012.11.06 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)


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