コラム

 公開日: 2012-11-02  最終更新日: 2012-11-06

電車等の不通による自転車等の通勤途上のけがの取り扱い

大きな地震、台風、強風、土砂崩れなどの災害の影響で、交通機関がストップしてしまうことが考えられます。特に、電車はわずかの強風でも遅れや不通になることが想定されるところです。

首都圏の場合、強風でも風速30mで電車を走らせないと決めるなど、各路線で若干の温度差はあるものの、多くの路線で電車は動かなくなります。2011.9の台風は首都圏を直撃しましたが、多くの方が電車内で長時間過ごすことになったのです。

このように一時的な災害の場合は、翌日には交通機関が正常化しますので問題にならないのですが、地震、土砂崩れ、洪水などの甚災といわれる災害では、幾日も電車が動かないことが考えられます。

従業員も動かない電車を待っているわけにはいきませんので、自転車やオートバイなどの替わりの手段を考え通勤することが考えられます。この途上でけがをした場合に通勤災害になるのか整理しておきたいところです。

以前のコラムでも触れておりますが、まず、通勤は合理的な方法によることが必要となっています。通常、電車なら数十分の距離であったところ、災害で電車が復旧しないというのは、やむを得ない事情ですから、従業員が次の策を考えるのは当然と言えます。

こうした事情を考慮しますと、自転車等による通勤が、会社が事前に許可していない方法によるものであっても、通勤と認められると考えられます。もちろん、会社と自宅との往復の経路に関して認められるものです。

ただし、方法は認められるとしましても、もう一つの通勤の要件である「合理的な経路」は注意する必要があります。やむを得ず自転車等によるとはいえ、あまりにも自宅と会社間の経路として考えにくい経路を使った場合、通勤経路の逸脱と判断される可能性があります。

また、電車が止まっていた間の延長で、交通機関の復旧後も自転車等で通勤している場合は、会社が通勤方法として認めている場合を除いて、通勤とは認められないと考えられます。

最近の健康ブームを反映してか、従業員の健康と会社の交通費負担の軽減から、いくつか自転車通勤に積極的な企業もあります。このように自転車による通勤を会社が認めている場合は、その途上のけがは通勤災害が適用になります。

しかし、会社が認めていないのに、従業員が自主的に健康のためとか、体力づくりのためとかの趣旨で自転車通勤をしている場合は、通勤方法として不合理とみなされ、通勤災害は適用されないことになると考えられます。

災害による交通機関の停止で、替わりの通勤方法をとる場合は、これらの要素を考慮のうえ、通勤か、通勤であれば通勤災害が適用になるのかについて検討すべきところです。

ただし、触れましたように、その延長で自転車通勤している場合は、万一の災害について、従業員にもきちんと動機付けをしておくことが肝要かと思われます。

(2012.11.02 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)


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