コラム

 公開日: 2012-11-01  最終更新日: 2012-11-06

災害等により自宅勤務を命じた場合の賃金の取り扱い

会社が災害等で継続業務ができなくなった場合、やむを得ず、自宅で業務をするように命じることが考えられます。

典型的な例は、インフルエンザ等の流行性、感染性のある病原菌対策で、インフルエンザになった従業員に対して発令します「会社に出てくるな」があります。

その場合に、従業員の業務が必ずしも自宅でこなせるものばかりとは限らないわけですが、自宅勤務を命じたことによる賃金はどのように考えればいいのでしょうか。一瞬、考えてしまうテーマです。

今回のテーマの場合は、会社が勤務を命じていますので、休業手当の支払は対象から外れることになります。そうすると、自宅とはいえ、勤務が命じられた以上、賃金が発生するのは当然と言えます。

このとき、通常の勤務形態と異なるうえ、通常の業務が自宅では通常通りできないこともありうることです。その場合、通常の業務ができていないことを理由にいきなり賃金を減額するなどの措置はできません。

災害等に起因することによる措置とはいえ、会社の指示・命令ですから、通常の賃金をそのまま保障しなければならないことになります。契約のルールは非常にシンプルかつ明快で、会社の指示にしたがって労務を提供した(働いた)場合、賃金を支払うというものです。

したがいまして、会社の指示にしたがって業務を行えば、従業員には通常の決められた賃金を支払うことになります。従業員からみれば、賃金を支払ってもらう権利(賃金請求権)があるわけです。

ただし、就業規則等で臨時の自宅勤務の場合の賃金の算出方法が規定されている場合には、その内容に合理性がある前提のもと、就業規則等にしたがって支払うことになります。

実際、災害時に通常通りの仕事があるかないかによって、賃金が異なるような特約などの合意がなければ、通常の賃金を支払うことになります。

会社の自宅勤務の指示ですが。職種や業務について特定されている雇用契約であった場合には、災害等の状況ややむを得ず自宅勤務になることを説明のうえ、同意を得ておくことが必要です。

労務の世界では、通常と異なるバージョンを適用せざるを得なくなった場合には、必ず、従業員の同意を得ることは鉄則です。リスク回避に大きく貢献します。

災害等による自宅勤務の可能性がある場合には、就業規則等で賃金について予め検討しておくことも一案です。災害時を想定した規定までおくケースはあまりありませんので、平常時に検討しておくべきかと思われます。

実際に、自宅勤務が発生した場合には、上記のような要素を柱に適切な対応が求められることになります。災害のほかに感染性のある疾病などの場合の対応として必要になってきますので、取り決めをしっかりしておくことが望まれます。

(2012.11.01 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)


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