コラム

2012-10-29

災害を含めた緊急時の変形労時間制の変更の取り扱い

地震、台風、洪水、土砂崩れ、停電などで会社の勤務体制がくるってしまうことが想定されます。労働時間と休日が当初の決まり通りに運用できない事態を経験した場合には、会社としては、正常に運用できないことを描いて準備をしておきたいところです。

法は、週1日の休日と1日8時間、1週40時間を原則としています。多くの企業では、さまざまなやりくりにより、この原則ルールで運用しているものと思われます。

一方で、法は、原則ルールをとることが、運用上、適していない場合には、例外的に労働時間の弾力的運用を認めているところです。今回のテーマであります変形労働時間制はその一つです。

変形労働時間制は、一定期間を単位に、その期間内の週平均労働時間が40時間におさまっていれば、特定の週が40時間を超え、特定の日が8時間を超えて働かせても時間外労働にはならないことを意味します。

変形労働時間の一定の期間としましては、1か月単位、1年単位、週単位の3つのバージョンが認められています。手続として、労使協定を結んで届けるなどが求められています。

中でも、1か月単位の変形労働時間が一般的と思われますので、これを基本として詳細に触れておきます。まず、変形期間の起算日や対象労働者を特定することが必要です。

次に、実務レベルの管理・運用がやや大変ですが、その日に何時間働かせるか、どの日が休日か、事前に特定しなければならないルールになっています。そのために、勤務シフト表や変形期間をベースとしたカレンダーなどを作成することになります。

変形労働時間制の場合は、タイムカードや勤務記録簿に時間が正確に記録されているだけではなく、予め定めた労働時間や休日がわかる管理表が求められるのです。この管理表は、従業員が事前に知ることができるという点からも要請されています。

今回のテーマは、事前に決めた変形労働時間制、つまり、勤務シフト表やカレンダーに定めた時間等を変更することは、どう取り扱われるのかということです。基本的には、従業員が認識できるように、予め決めておくものですから、突然、変えることはできないというのが原則と考えられます。

ただし、災害などを想定して、例外的に直前の変更をする場合があることを就業規則に規定している場合は、変形労働時間制を変えることが許されると考えられます。要件としましては、変更する具体的な理由と変更することが規定されていることになります。

変形労働時間制の変更の要件について判断している裁判例では、上記の点が指摘されているところです。

ただし、会社としましては、恣意的な意図が存在しないような就業規則への規定と実際の運用をするように注意する必要があります。もし、恣意性がある場合には、違法性が問われることになるからです。

このように、災害を想定した場合とはいえ、変形労働時間制の変更は、要求される要件、運用などがありますので、社内でよく検討したうえで、取り決めをするようにしたいところです。

(2012.10.29 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)

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