コラム

 公開日: 2012-10-25  最終更新日: 2012-11-06

災害で負傷した親族の入院先からの通勤途上の災害

災害により従業員の身内の者がけがをすることも十分ありうることです。特に、大きな地震や竜巻に襲われたあとは、大きなけがを負うことも考えられます。

けがをした身内の者を看病する者がいない場合、従業員が病院に寝泊まりして看病することがあります。災害が招いた結果ですから、通常、そうした状況にあることは、従業員の上司にも報告されていることと思います。

従業員が、親族の看病のために入院先の病院から会社に向かう途中で、けがをした場合には、通勤災害として認められるのでしょうか。いざというときに対応する必要が出てきますので、多少の予備知識をもっておきたいところです。

一般的な話として、法は、通勤途中に立ち寄る行為のうち、「日用品の購入これに準ずる行為」を通勤の妨げにならない行為としています。

また、裁判例として、通勤途中に看護・介護のために立ち寄ってからの出勤や帰宅が通勤に該当するかについて、高齢化社会を考慮して、通勤の妨げにならない「日用品の購入これに準ずる行為」にあたると判断しているものがあります。

今回の場合も、通勤途中で親族の看護・介護をする行為で、通常の住居とは異なる場所である病院からの通勤であるという点では、非常に類似しています。

加えて、災害による負傷のために、従業員は通常の通勤と違う対応にならざるを得ない状況にありますから、通勤と認められる可能性は高いと言えます。

ただし、親族といっても、いとこなどの遠い親戚関係になると、いくら災害による看護・介護のためでも、従業員の通勤とは認められないと思われます。また、親族以上に親しい関係にある向こう三軒両隣の方であっても、通勤とは認められないと思われます。

近年は、従業員が短い時間で働き、複数の会社で勤務をするケースも見られるようになっています。それらの実態によって、やや複雑なケースは個別にみる必要があります。

いずれにしましても、家族が災害で負傷して、通勤途中で看護や介護のために病院に立ち寄るケースや寝泊まりする病院から通勤するケースは、通勤と認められる可能性が高いようです。

留意点は、看護・介護のための病院が通常の通勤経路からかなり離れている場合は、問題になることもあり得ることでしょう。

今回のようなテーマは、災害に伴うものでない平常時であっても、類似して考えられますので、参考になるかと思います。事がおきていない場合にこそ、従業員にしっかり意識づけし、社内的に統一を図っておきたいところです。

(2012.10.25 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
首都圏中央社労士事務所
344-0031 埼玉県春日部市一ノ割1-7-44 ☎048-748-3801

「失敗しない人事労務の豆知識」でもQ&A公開(随時追加)しています。
       ⇒ http://www.cyuuou4864.com/category/1584282.html

公式ホームページ(中小企業向けサイト) ⇒ http://www.cyuuou606.com/
公式ホームページ(労務監査専門サイト) ⇒ http://www.cyuuou4864.com/
公式facebookページ ⇒ http://www.facebook.com/cyuuou606
公式twitter ⇒ https://twitter.com/cyuuou4864
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


この記事を書いたプロ

首都圏中央社労士事務所 [ホームページ]

社会保険労務士 亀岡亜己雄

埼玉県春日部市一ノ割1-7-44 [地図]
TEL:048-748-3801

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
主な業務実績等
どんどん進む

★業務実績・企業の労務顧問、労務相談(年平均500件の対応実績)・中小企業の経営分析業務、管理会計研修・中小企業の人件費管理・中小企業の労務リスク対策・...

けがや病気の救済制度
どんどん進む

中小企業のお手伝いや労働者の労働問題の対応の中で、業務上のけがや病気、通勤途中のけが、業務外のけがや病気などで精神的あるいは身体的に機能が正常時よりも衰える...

 
このプロの紹介記事
労務監査、労務分析による労務リスク対策を得意とする社労士 亀岡亜己雄さん

企業内の労務リスクマネジメントは企業の経営資源の適切な活用の第一歩(1/3)

「最近の労働問題は、人材の募集や採用、配置、異動、人事考課や昇給、昇進など労務管理にまつわる事柄のほか、経営者の発言や決めたことの押し付けなどが原因になっているケースが散見されます。データ上最多であるパワハラ、いじめ・嫌がらせに関しては、上...

亀岡亜己雄プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

採用から退職までの助言と支援、労働問題の事前措置と事後対応

事務所名 : 首都圏中央社労士事務所
住所 : 埼玉県春日部市一ノ割1-7-44 [地図]
TEL : 048-748-3801

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

048-748-3801

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

亀岡亜己雄(かめおかあきお)

首都圏中央社労士事務所

アクセスマップ

プロのおすすめコラム
★会社の歓送迎会後の交通事故による死亡が労働災害とされた例
イメージ

 事案の概要  この事件は、従業員Bが従業員7名の会社Yの中国人研修生の歓送迎会に出席後、業務のた...

[ 裁判例に見る労務:労働災害 ]

◆「始末書を書け」と命じることはできるか
イメージ

日々、相談を受けている中で、多くの事案で登場するものの一つに「始末書」があります。「始末書」は、雇用社...

[ 裁判例に見る労務:始末書・誓約書等 ]

★定年前の無期雇用と定年後の嘱託有期雇用の労働条件の相違が不合理とされた例
イメージ

 嘱託有期雇用の賃金低下措置に問題を投げかける判決  一般に、多くの企業では、一定年齢により定年と...

[ 裁判例に見る労務:嘱託雇用、有期雇用 ]

◆メモやノート等はパワハラにおける損害賠償請求の役に立つのか
イメージ

パワハラは、労働問題の中でも証拠が残しにくいと言われている分野です。その足元をみてか、企業サイドは、...

[ 裁判例に見る労務・パワハラ ]

★パワハラの行為類型に関する情報の留意点
イメージ

 パワハラの当事者は、ネット上の種々の情報からパワハラにあたるか否かを判別する手掛かりを見出そうとし...

[ パワハラ ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ