コラム

2012-10-24

災害による業務量の変化を理由とする交代制の導入

いくつかのコラムでも触れておりますが、地震、雷、洪水、竜巻等の災害が起きたことで、自社あるいは取引先等の影響から業務に支障をきたすことが考えられます。

会社の業務が停止されるほどのダメージでない場合は、当然、業務運営を継続しますが、災害が発生する前と比較すると業務量が減少しているという状況は否めません。

会社としては、現状を考えると、これまでと同じ勤務体制で従業員を働かせれば、業務効率や人件費などの点で問題が生じることにもなるわけです。会社としましては、従業員の交代制勤務の採用も問題を解消する方法として対象になってくる場合があります。

たとえば、9時から17時までの就業を所定の労働時間としていた会社が、災害後の状況により、15時から21時までというような就業体制にすることは、問題にならないのか検討する必要があります。

法的には、1日8時間、1週40時間が最長という規制がかかっています。法定の時間外労働をさせる必要がある場合は、会社と従業員との間で36協定を結んで、労働基準監督署に届けることで、その協定の範囲内で許されることになります。加えて、就業規則への設定も求められるところです。

始業・終業時刻を就業規則に規定することで、具体的に就業時間の枠が特定されるわけですが、その時刻が変ることで従業員の私的な時間に関係する場合や就業時間の長さが変更になる場合は、従業員にとって労働条件の不利益変更になることを考える必要があります。

労働条件の不利益変更の場合は、もちろん、就業規則の規定及び行政への届出は必要なわけですが、何よりも、変更の内容が合理的と認められるか否かが非常に重要です。

やっかいなことに変更内容の合理性の判断は、即座に、白か黒かのようなわけにはいきません。災害による業務量の減少、断続性などの状況と変更する労働時間とのバランス(均衡)が求められるところです。

さらに、従業員の私的な時間に関係して、労働時間が変更になる場合や就業時間の長さが短くなることで給料が減額になる場合は、不利益性が高まりますので、業務量との関係での均衡をいっそう厳密にみる必要があります。

法的には、裁量労働制、フレックスタイム制、変形労働時間制などの弾力的な労働時間性を設定することはできます。ただし、先ほどの、1日8時間、1週40時間という原則ルールの例外として用意されているものです。

それゆえに、認められる要件が多々あってやっかいですし、何より、会社の実態として運用ができなければ、形式的に就業規則に規定してもリスクが発生するおそれが出てくることに留意する必要があります。

交代制の導入は災害に影響してのこととはいえ、労働時間を変更することになります。労働時間の変更は、行政のもっとも厳しいチェックが入るところでもありますので、社内においても、すべての状況を考慮の上、決定すべきと考えます。

(2012.10.24 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
首都圏中央社労士事務所
344-0031 埼玉県春日部市一ノ割1-7-44 ☎048-748-3801

「失敗しない人事労務の豆知識」でもQ&A公開(随時追加)しています。
       ⇒ http://www.cyuuou4864.com/category/1584282.html

公式ホームページ(中小企業向けサイト) ⇒ http://www.cyuuou606.com/
公式ホームページ(労務監査専門サイト) ⇒ http://www.cyuuou4864.com/
公式facebookページ ⇒ http://www.facebook.com/cyuuou606
公式twitter ⇒ https://twitter.com/cyuuou4864
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

この記事を書いたプロ

首都圏中央社労士事務所 [ホームページ]

社会保険労務士 亀岡亜己雄

埼玉県春日部市一ノ割1-7-44 [地図]
TEL:048-748-3801

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
主な業務実績等

★業務実績・企業の労務顧問、労務相談(年平均500件の対応実績)・中小企業の経営分析業務、管理会計研修・中小企業の人件費管理・中小企業の労務リスク対策・...

 
このプロの紹介記事
労務監査、労務分析による労務リスク対策を得意とする社労士 亀岡亜己雄さん

企業内の労務リスクマネジメントは企業の経営資源の適切な活用の第一歩(1/3)

「最近の労働問題は、人材の募集や採用、配置、異動、人事考課や昇給、昇進など労務管理にまつわる事柄のほか、経営者の発言や決めたことの押し付けなどが原因になっているケースが散見されます。データ上最多であるパワハラ、いじめ・嫌がらせに関しては、上...

亀岡亜己雄プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

採用から退職までの助言と支援、労働問題の事前措置と事後対応

事務所名 : 首都圏中央社労士事務所
住所 : 埼玉県春日部市一ノ割1-7-44 [地図]
TEL : 048-748-3801

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

048-748-3801

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

亀岡亜己雄(かめおかあきお)

首都圏中央社労士事務所

アクセスマップ

プロのおすすめコラム
◆「始末書を書け」と命じることはできるか
イメージ

日々、相談を受けている中で、多くの事案で登場するものの一つに「始末書」があります。「始末書」は、雇用社...

[ 裁判例に見る労務:始末書・誓約書等 ]

★定年前の無期雇用と定年後の嘱託有期雇用の労働条件の相違が不合理とされた例
イメージ

 嘱託有期雇用の賃金低下措置に問題を投げかける判決  一般に、多くの企業では、一定年齢により定年と...

[ 裁判例に見る労務:嘱託雇用、有期雇用 ]

◆メモやノート等はパワハラにおける損害賠償請求の役に立つのか
イメージ

パワハラは、労働問題の中でも証拠が残しにくいと言われている分野です。その足元をみてか、企業サイドは、...

[ 裁判例に見る労務・パワハラ ]

★パワハラの行為類型に関する情報の留意点
イメージ

 パワハラの当事者は、ネット上の種々の情報からパワハラにあたるか否かを判別する手掛かりを見出そうとし...

[ パワハラ ]

◆就業規則の抽象的な表現のあてはめはトラブルのもと
イメージ

雇止めや解雇といった、企業サイドがイニシアチブをとる雇用契約終了は相変わらず多くなっています。ハラスメ...

[ 雇用時事ニュースから見える労務 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ