コラム

 公開日: 2012-10-23  最終更新日: 2012-11-06

出向先の災害による出向従業員の復帰の検討

災害が起きたときのやっかいな問題は、自社自体がなんでもなくても、関係先が被害を受けた場合の対応になります。台風、地震、洪水、竜巻等の災害では、そのことが後で検討すべき事項として浮上します。

関係先の中でも、従業員が出向している会社が被災した場合に、どう対応するかを検討することは、取引上の得意先の被災の場合とは異なった対応を検討する必要がでてきます。

出向が関係した時には、出向の態様によって対応も異なってくることになります。つまり、在籍出向と移籍出向(転籍)で違う対応を考える必要があります。

在籍出向は、出向元との雇用関係を保ったまま、従業員が出向先で働くことで、出向期間の満了、または、出向の指示によって、出向元に復帰する形態です。

在籍出向は、出向元との雇用関係を解消して、出向先との雇用契約を新たに結んで働く形態です。

実際の出向がどのバージョンかは、出向元と出向先、出向で働く従業員の3者間での合意内容によって判断が分かれることになります。特別な約定がない限り、就業規則の定めに基づくことになるのが一般的です。その意味では、就業規則の規定内容が非常に重要です。

今回のテーマのような状況になった場合、出向先の被災状況にもよりますが、在籍出向では、出向元が指示をしてまで、復帰させる必要があるのかを検討のうえ、出向期間の満了を考慮しつつ、復帰の指示をすることになります。

出向先が被災して業務ができない以上、検討すべきはいつの時点で復帰させるかということになります。いずれにしても、出向元は、新たに仕事を与えるか、新たな出向先を確保するかという対応をしなければなりません。

ただし、出向元としても災害により業務の縮小を余儀なくされたという状況になり、新たな仕事を提供することも、新たな出向先を確保することもできない場合、従業員を解雇しなければならないことも考えられます。しかし、解雇は最後の手段として検討すべきことになります。

一方、転籍では、出向元と出向従業員との雇用契約は存在しておらず、出向先との雇用契約が成立しているわけです。災害により出向先で働けなくなった場合、出向従業員をどうするかは出向先の決定事項になります。出向元は、出向従業員を復帰させる義務はありません。

ただし、出向元と出向先が話し合い、出向元の配慮によって、再度、出向元と雇用契約を結ぶことは任意ですし、災害という状況を考えますと、従業員を救済することにもなるわけですから、方法としては理にかなっているものと言えます。

このように、災害の影響で出向従業員が出向先で働くことができなくなった場合は、在籍出向か転籍かによって対応が異なります。

いずれのバージョンであっても、法的な雇用義務の検討をすることは重要ですが、大切なのは、できうる限りの雇用維持を検討することが企業にとってもいい評価につながることになります。

(2012.10.23 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)


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