コラム

 公開日: 2012-10-21  最終更新日: 2012-11-06

災害後の業務減少による労働時間短縮と賃金

自社あるいは取引先が災害の影響を被ることは、ありえることですが、企業の業務量の減少をもたらす場合は、直接的に労務への影響もやってきます。

大きな災害のあとは、ダメージの大きさにもよりますが、業務が減少した場合に従業員の勤務時間を調整する必要も考えられるところです。

成功法でいえば、業務量の減少を従業員の労働時間の長さに反映させることが想定されます。実質的に労働時間の短縮となり、会社としましては、賃金の減少と連動させることができると考えられることがその理由です。

一方で、従業員のほうは、労働時間が短くなれば給料が減るのではないかという不安材料になり、士気低下につながることにもなりかねません。

そこで、経営的に労働時間の短縮が可能であっても、法的に認められるかということがテーマになります。

労働時間の長さは、賃金に並ぶもっとも重要な労働条件と言えます。その長さが変ることは、よほど温情的な企業でないかぎり、賃金が変ることを意味します。

こうした労働時間の変更は、まず就業規則を変更し、従業員代表(または労働組合)の意見聴取と労働基準監督署への届出のもと適切に行う必要がでてきます。

留意点は、形式的に従業員の意見を聴くという就業規則を成立させるための手続の視点ではなく、従業員との合意を得るという視点での説明と理解になります。

もっとも、労働時間短縮が給料の減額になる場合は、労働時間の減少との均衡がとれていない場合、賃金額の不利益変更になるため、減額の必要性、減額があたえる従業員への不利益の程度などの変更の合理性という法的要件を満たすことが求められることになります。

通常、業務が減った原因が災害に関係していること、そのことで労働時間の短縮を考えざるを得ないことを当然と考えることで、結果、賃金が減額になるのも当然となりがちですから、賃金の減額が予測できる場合は、労働時間の設定を十分に検討することが必要です。

会社としましては、業務量の減少が永遠に続くのでなければ、1か月単位の変形労働時間制による運用も検討したいところです。1か月という枠内で、週平均40時間を超えない範囲で、各週、各日の始業終業時刻を変更することが可能ですので、運用面を考えますと非常に有効と言えます。

1か月単位の変形労時間制の手続は、就業規則の変更、または、労使協定の締結と届出です。

業務量の変更で労働時間の長さが変る場合、業務量の減少という状況がどのくらい続くかをできる限り測定し、一時的なものであれば、賃金の減額を避けることも思考する必要があります。

いずれにしても、労働時間と賃金は従業員が敏感に反応する労働条件ですので、災害によることとはいえ、慎重な対応が求められます。災害によるという振れ込みで広く認められることにはならないことを肝に銘じておくことが、リスク回避につながるポイントになります。

(2012.10.21 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)

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