コラム

 公開日: 2012-10-19  最終更新日: 2012-11-06

災害を想定した従業員の自己申告制による労働時間の把握

災害時には、停電、雷、突風、豪雨に加え、電車の運行停止など会社の正常な業務遂行を妨げる事態になることもあります。2011.3.11の後は、計画停電の措置もとられました。

これらは、通常の勤務体制を描きますと、会社の考えではない外部要因によって、通常の労働時間の管理ができないことを意味します。会社としましては、労働時間を弾力的に運用する方法を模索するというのが流れかもしれません。

この場合の弾力的運用は、労働時間が把握しにくいからという意味でのことですので、変形労働時間制、フレックスタイムなどの弾力的運用とは異なり、労働時間の把握方法のことになります。そこで、検討対象になるのが、従業員の自己申告制です。

まず、法が要請する賃金の対象となる労働時間の把握という問題があります。所定労時間は就業規則によって決められていますが、所定労働時間が変更されるという話ではありませんので、その点では自己申告制でも問題なしです。

しかし、従業員を呼び出して、停電後に臨時に2時間働いてもらったという場合、8時間、週40時間という法定労働時間を超えているか否か、つまり、割増賃金の対象となるかについては問題になってきます。

法的には、使用者の指揮命令下にある時間として、労働時間になることを会社が認識しておくことが大切です。この点は、臨時に従業員を働かせたことに対し、従業員と合意により時間を決めても実際に働いた時間で把握することになります。

次に、会社と従業員の雇用契約の内容として賃金の対象となる労働時間を考える必要があります。たとえば、「災害で臨時に出勤した場合は賃金を支払う」という契約内容になっていることが認められる場合は、そのことが、契約上の合意の内容になると考えられますので、会社としては、自己申告した労働時間に基づいて賃金を支払うことになります。

自己申告制にした場合、最も注意する必要があるのは、割増賃金の対象となる時間について、従業員が正しく申告しているかどうかです。

実際に、ある日の労働が8時間を超えていたのに、従業員が自己申告せずに、後日、「9時間働いていますから、割増賃金を請求します」ということが考えられます。この場合、申告がされていないだけで、実態としてその時間働いていたときには、割増賃金を支払う必要がでてきます。

自己申告制の方法をとった場合は、実態としての時間をいかに適性に申告させるかにかかっています。たとえば、労働時間管理用のパソコン・フォームに、業務内容とともに日々データ入力させることも一案です。

実態としての労働時間を申告していない場合は、会社の注意・指導を含めて、労働時間管理の義務が問われることにもなりますので十分に留意しましょう。

(2012.10.19 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)

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