コラム

 公開日: 2012-10-18  最終更新日: 2012-11-06

災害で行方不明になった従業員に対する処遇

台風による土砂崩れ、大きな地震、竜巻、津波などのある程度の災害になりますと、不幸にも災害に巻き込まれ、行方がわからなくなっているということがおきます。

2011.3.11では、行方不明者が多数でたことは記憶に新しいところであり、いまも多数の行方不明者がおり、捜索が続いています。

こうした行方不明者の従業員に対して、会社は何か労務上の処遇をしてあげる必要があるのか、常に起きることではないだけに、思案に困るところです。

このテーマは、平常時と災害時をわけて考える必要があります。雇用契約上の責任という点で、異なってくることになります。

平常時の場合、従業員は指示に従い誠実に会社で働くことで、会社は従業員に賃金を支払うことが契約ですから、従業員が、働く義務を勝手に放棄してはいけないわけです。何の連絡もなしに行方不明になった場合は、行方不明になってからの期間に対する、会社の賃金支払い義務はなくなります。

従業員の行方不明が、会社の業務運営に著しく支障をきたしたという状況になれば、懲戒処分を適用することも可能になります。最近は、従業員が職場からだまっていなくなるケースがありますが、雇用契約上は、この平常時の取り扱いに準じて対応してかまわないと考えられます。

災害時の場合、行方不明の原因が災害ということが対応を大きく違ったものにします。災害による行方不明は、災害により従業員の安否がわからないという状況です。それによって、従業員が就労することができないということは、従業員に責任があるわけではありません。

ちなみに、被災して従業員がやむを得ず就労することができないという事情にある場合にも、会社に連絡をしてこなかったからといって、従業員の責任はないと考えられます。

また、会社側の事情も関係していませんので、会社にも責任はありません。災害による行方不明で、就労不可能という状況は、労使双方に責任がないことというのが、平常時と異なるところです。

これを踏まえますと、会社は、雇用契約上の給料や休業補償などを支払う義務はなにもないと言えます。法的には、会社に何か支払うことを問えないことになります。

ここからは、法的な枠組みの範囲外になりますが、その従業員の状況や家族などのことを思い、会社が賃金等の名目で一定の金銭補償をすることは、現実の状況を考えると温情的なのちに感謝に値する行為と言えます。

もちろん、任意ですので会社として判断してかまいません。この辺は、法的な問題の対象ではありませんので、会社として検討すべきことと思われます。先の法的な義務に関しましても、会社として、しっかり理解しておくことで対応を迷わずに乗り切れるかと思います。

(2011.10.18 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)

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