コラム

2012-10-17

災害を想定した就業規則の変更の合理性

会社は、さまざまな影響を受けたような災害を一度経験しますと、災害を想定して事前に取り決めをしっかりしておこうと考えるのは、自然の流れです。

従業員への業務命令の範囲を広げたり、業務命令に従わない場合に懲戒処分の対象にしたり、あるいは、懲戒処分を重くしたりすることなどが考えられます。

また、法的なルールを知らない場合、有給休暇の取得に制限をしたり、休業手当を支払わないルールにしたりすることが考えらえます。ただし、これは、ルールとして認められるものではありません。

これらを統一的に行うための合理的な方法は就業規則ですが、規定の内容等が合理的なものであれば、就業規則に規定し、従業員代表の意見書を付けて、労働基準監督署へ届出ればいいということになります。

しかし、業務命令の内容が変ったり、懲戒処分を重くしたりすることは、内容等によって労働条件の不利益変更に該当する場合も出てきます。

業務命令の内容の点は、命令の範囲を広げることが考えられます。しかし、そのことのみで不利益変更になるとは言えません。

命令の範囲を広げることで、従業員の自由な意思で決めるべきことなどに制限を加えることになる内容となる場合は、不利益変更に該当する可能性が高くなります。たとえば、先に触れました、有給休暇を取得する従業員の意思に影響するような命令などは、不利益変更になる可能性があります。

懲戒処分の内容の変更も、処分を重くしたりする変更は、その必要性などによっては、不利益変更に該当する可能性があると言えます。

法は、就業規則の変更が合理的であると認められる要件を決めています。就業規則の内容を周知させているか、不利益の程度はどのくらいか、会社にとって変更の必要性はあるのか、変更後の規定内容に相当性があるのか、変更の手続き状況などを総合的にみるとされています。

会社としましては、最終的に、従業員への説明や理解を得るように手続をしっかりすることが肝要ですが、その前に、変更の程度や必要性が、災害に対する対応の部分で社内秩序や統一をとるうえでの必要な範囲内になるように規定内容を検討する必要があります。

確かに、万一の災害に備えておかなければいけない必要性も大きく、通常のルールだけでは対応しきれない現実もあります。就業規則は、会社が内容を一方的に決められるという性質ももっています。

上記の変更が認められるための要件を詳細に、かつ、十分に検討のうえ対応することが必要です。また、法は合意の原則と従業員への理解促進を非常に重視していますので、従業員の説明、理解、納得を得ないまま進行することのないように留意すべきと言えます。

(2012.10.17 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)

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