コラム

 公開日: 2012-10-14  最終更新日: 2012-11-06

被災したグループ企業の作業応援と事業場外労働の取り扱い

災害が起きた後に、グループ内の企業、あるいは、工場が災害によって建物内の後片付け等の支援が必要になる状況になることが想定されます。

いざというときは、応援要請があることで、従業員を支援に向かわせることは当然のことと言えます。その場合、グループ企業とはいえ、他事業所で働かせることになります。

他事業所で働かせた場合に、会社が事業場外労働として扱うことは可能なのか、一つのグレーゾーンの問題になる可能性がでてきます。考え方をわきまえておきたいところです。

法は、事業場外で労働した時間があれば、一部でも全部でも、その労働時間を算定し難いときに、所定労働時間働いたとみなすこととしています。所定労働時間を超えて働くことが通常である場合には、労使協定により労働時間を決めることができることも決められています。

この事業場外労働は、営業社員や新聞記者などのような常態的なものだけでなく、一時的なものや出張なども含まれていると考えられています。その意味では、災害応援のための一時的な他事業場での労働も対象になるところです。

企業にとって、事業場外労働を適用するメリットは、災害の応援のための労働時間を固定時間で算定できることにあります。

災害後のかなりバタバタしている中でのことですから、労働時間の測定のめんどうを考えますと、事業場外の労働ということもあり、一定の時間を見積もって決めてしまいたいという考えも無理からぬことだと言えます。

しかし、法が定める事業場外労働が適用されるかどうかは、「労働時間の算定が難しい」かどうかがとても重要になります。場所だけを考えれば、他事業所で働かせるわけですから、適用されるだろうとも思われます。

法の要請は、労働時間の算定ができるかできないかの状況として、実態を詳細にみるようになっています。

たとえば、現場の上司や統括する立場の従業員からの指示命令のもとに、働かせている場合、あるいは、携帯電話やメール等で業務の開始、終了、休憩、作業の進捗状況などを細かに報告することになっていた場合などの実態にあれば、労働時間の算定は難しいとはされず、事業場外労働の適用はない可能性がかなり高くなります。

通信機器による指示がある場合につきましては、通達の内容が、「無線やポケベル等によって」となっています。携帯やメールがない時代のもので、現代社会の労働時間管理の困難さにあてはめる場面においては、適切でない点がみうけられますので、通信機器による指示という意味では、グレーな部分が存在することは否定できません。

今は、携帯やメールなどで時間管理ができるはずとみなされる可能性も多分にあります。最終的には、災害の応援に行かせた事業場の状況とそのような指示をした会社の状況により、実態により判断されることになります。

会社としましては、危機管理の視点から、平常時にある程度の予測をしつつ、具体的な部分は、実際の応援労働の実態によって決定するという考え方が、一つの方向性であると考えられます。

(2012.10.14 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)

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