コラム

 公開日: 2012-10-08  最終更新日: 2012-11-06

災害で経営が悪化したことによる有期雇用の雇止め

大きな災害に見舞われた結果、経営が悪化することが想定されます。経営悪化で企業を苦しめるのは、運転資金のショートですが、そのダメージに対する対処法としましては、賞与の減額・カットや賃金の減額、昇給カット、採用停止、残業削減などが最初に考えられるところです。

それでも、追い付かない場合に、最後の手段として、従業員数の削減に進まざるを得ない状況になることもあり得るところです。近年は、正社員、パートタイム従業員、有期雇用従業員など雇用形態が多様化し、企業も多様な雇用形態の従業員を雇用していることがめずらしくなくなっています。

まず、人員削減の場合、このような多様な契約形態の従業員がいて、有期雇用の人員削減に着手していいのかが問われることになります。ちなみに、有期雇用の雇止めとは、期間の定めのある雇用契約で働く従業員の契約を更新しないこと(更新を拒絶すること)です。

この点に関して、裁判例では、正社員の雇用維持を優先するという趣旨で、有期雇用従業員の雇止めから着手することは一定の合理性があるとされています。

次に、有期雇用の一部の従業員を雇止めする場合、対象労働者の選択に根拠が必要になります。

正社員の雇用維持を守る考えから、会社との雇用関係が強い従業員が守られると考えられますので、有期雇用においても、更新回数の多さ、更新されてきた期間の長さなどが、優先性を決める根拠として考えられます。

したがいまして、更新してきた期間がかなり長い場合は、簡単に有期雇用の雇止めができない可能性もでてきますが、具体的な線引きは実態によって異なってきます。

さらに、雇止めの場合は、期間の定めのある雇用の期間満了による終了(自動退職)か、解雇かが実態によって判断されることになります。この点は、確立されています判例法理があり、それにしたがって、あてはめがされることになります。

有期雇用契約が、期間の定めがない雇用契約とかわらないような実態にあった場合、あるいは、継続して雇用されると期待されるような実態にあった場合は、期間の定めのない雇用契約(無期契約)と変わらないとみなされることになります。

形式的に期間の定めのある雇用契約でも、実質的に、このように無期契約とみなされた場合の有期雇用契約の雇止めは、解雇と取り扱われます。そのうえで、解雇だとしても、雇止めと認められる理由があるか、雇止めが酷ではないかについてチェックをすることになります。

なお、有期契約が無期契約とみなされるかどうかは、有期契約の更新手続きの実態、更新回数などから総合的にみることになります。有期契約がその実態がない(形骸化)と判断されないように、経営上、有期雇用に正当な目的があり、更新手続きがしっかりするようにしておきたいところです。

いざとうときに、違法性のある判断をしないためにも、平常時に、雇用形態に応じた対応の仕方を検討しておきたいところです。

(2012.10.08 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)

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