コラム

 公開日: 2012-10-07  最終更新日: 2012-11-06

災害を理由とする産前産後休業中の従業員の解雇

地震、台風、竜巻、洪水等の災害により、会社の事業継続が不可能になることが考えられます。最近は、異常気象も続いており、竜巻注意報の発令、多くの台風の発生などニュース、天気予報もチェックせずにはいられない状況でもあります。

従業員の中に産前産後休業中の女性がいて、そこに経営の継続が困難になるような災害がやってきた場合、会社は、その従業員を解雇できるのか、非常に迷いが生じるところです。「災害なのだからしょうがない」と考えたくもなります。

まず、法の基本的な取り決めをみておきましょう。産前6週間、産後8週間を経過しない場合には働かせることができないことになっています。解雇に関しましては、産前産後休業中と産前・産後休業が終了しても、その後30日間はできないことになっています。

この基本を当てはめると、産前休業中や産後休業中の解雇は法違反になるということです。しかし、法は、災害時の場合の特別な決まりを定めています。

「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」というものです。ここに該当する場合は、解雇が許されると定めています。

したがいまして、今回のテーマのようなケースの判断の分かれ目は、「天災事変その他やむを得ない事由」に該当するか、「事業の継続が不可能」と言えるかということになります。

2011.3.11の際の厚生労働省の方針では、取引先の影響、材料・製品等の仕入・納入等の影響、輸送の影響など、会社の施設や設備が直接的に被害を受けていない場合は、事業の全部又は大部分継続が不可能となったときでも、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」にあたらないとしています。

ただこの場合も、取引先への依存度、輸送経路の状況、その他代替手段の可能性、災害発生からの期間等を総合的に勘案し判断すべきとしています。

また、厚生労働省の解釈でも、事業場や工場などの施設等が直接災害にあって事業継続不可能になった場合を想定しているようです。

こうしてみますと、施設や設備の被害でも、他の場所・設備が確保可能である場合は、事業の継続は可能と判断される可能性があります。資材や製品等が届かない場合でも、一時的なものであったり、他の手段で事業の再開が見込まれるような場合は、やはり、事業の継続は可能と判断される可能性があります。

「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」の解雇は、原則、産前産後休業の従業員の解雇が禁止される中での、あくまで例外としての対応ですので、慎重に考えなくてはいけないものであると捉えておくべきかと思われます。

災害時には、産前産後休業中の従業員がいた場合には、さまざまな手を尽くしても、本当に事業の継続ができないのか、取引先、輸送経路の状況、今後の見通しなどを十分に調査したうえで、最後の手段として解雇を見極めることが大切になると考えます。

(2012.10.07 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)


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