コラム

2012-10-06

災害で帰国した外国人従業員の取り扱い

災害の状態や内容によっては、日本人と違い外国人は、日本にいると安全が脅かされる、あるいは、就労の継続が危いということから、自国に帰ってしまうことが想定されます。

2011.3.11の際には、この状況が顕著に見られ、原因は、日本は地震が怖いということもありますが、なんといっても、放射性物質漏れ事故による放射能拡散の恐怖からでした。

日本人が生活し、働いているので、すぐにいられなくなるという状況ではないのですが、外国人にはそう冷静に、客観的に受け止められない場合も多いようです。一旦帰国してしまうといくら説明しても帰ってこない場合も考えられます。

そんな理由から、外国人が帰国してしまった場合、会社はどのように取り扱えばいいでしょうか。こうしたことも事前に、取り扱いを社内で検討しておく必要があります。

まず、帰国の経緯ですが、
1.大使館の指示で帰国した場合
2.大使館の指示ではなく、自主的なものであるが、誰が見ても、働くことが出来そうにない状況になり帰国した場合
3.自主的な帰国でも、働くことが出来そうにない状況にまではなっていない場合
などが考えられます。

1の場合は、指示により帰国したことそのものは、外国人従業員に責任がありませんので、何か法的な取り扱いをあてはめるのは難しいと思われます。しかし、災害の状況が落ち着いて、避難指示も解除され日本に戻っても大丈夫であるメッセージが出されていて、従業員に説明しているにもかかわらず帰ってこない場合は、解雇も考えなければならなくなります。この場合の解雇は、解雇もやむなしとして、違法にはならないと考えられます。

また、外国人従業員が連絡しても応じない、母国で働きだしているなどの実態が認められる場合には、日本に戻って働く本人の意思がないと判断できるため、正当に解雇できると考えられます。

2の場合は、外国人従業員の判断が、誰がみても働くことできないという状況から、一旦帰国するのも無理がないということが認められるときは、何か法的な取り扱いをするのは難しいと思われます。

しかし、働くことができない期間がさほど長期でない場合で、日本に留まることも可能な状況の場合は、会社と本人が話し合い、会社の許可のもと一旦帰国し、状況が落ち着いてすぐに戻ることもあるでしょう。

この場合で、帰ってくるべきなのに帰ってこないなどの状態になったときは、本人の働く意思を確認したうえで、解雇を適用することも考えられます。状況によっては、一定期間を置いて無断欠勤が続いたことが理由になる場合も考えられます。

3の場合は、帰国しなければならない状況にないのに、自主的に帰国してしまったことで、無断欠勤と同等に扱うことが可能です。会社が戻ることを促しても、外国人従業員が応じないときは、解雇もやむなしで、正当な解雇として認められるものと考えられます。

ただし、本人が帰国する前に、会社が、災害等による就労状況や安全面への配慮等について説明をしていることが必要です。

なお、労基法15条3項で、従業員が、就業のために住居を変更した場合に、契約解除の日から14日以内の帰郷を条件に必要な旅費を負担することになっています。

これは、明示された労働条件と実際の労働条件の食い違いによる場合に適用される話ですので、今回のテーマのような場合は関係ありません。したがいまして、本人から帰国の旅費の請求があっても、会社が支払う義務はありませんから、旅費を出すかどうかは会社の任意になります。

最近は、外国人労働者もかなり増加していますので、今回のようなことが起こりうることが十分考えられます。平常時に対策を考えておきたいところです。

(2012.10.06 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)


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