コラム

2012-10-04

災害による社宅の居住不能と会社の対応

従前は、会社が社宅を保有していて、従業員が社宅に住んでいたという光景が多くみられました。しかし、景気が悪くなってからは、社宅を手放す企業も増加して、全体として社宅の数が減少しているようです。

そうは言っても、社宅はまだまだあちらこちらに存在しています。従業員にとっては、自分で新たに部屋を探して個別に賃貸契約を交わす必要もないという点では、便利なものです。福利厚生の一つとして会社のイメージにもつながります。

災害によって、従業員が住んでいる社宅が、住めない状況になった場合に会社はどう対応したらいいでしょうか。何か金銭的補償が発生するのでしょうか。災害がやってくる前に、一定の方向を考えておきたいところです。

まず、一言で社宅といってもいろいろな形態があります。会社が所有して会社の管理下にあるもの、会社が買い上げ、または、賃借して従業員に提供しているマンションやアパートであるものなどさまざまです。

こうした社宅が災害で住めなくなった場合に会社がどこまでどう責任を負うかは、社宅の権利関係や従業員に社宅を提供するに際しての要件などによって異なってくると思われます。

社宅が会社所有で従業員に社宅の居住を義務付けている場合は、従業員が社宅に住むことは、雇用契約に付随する契約の合意内容になっていると考えることができます。こうした場合には、会社が社宅を修繕するなどの対応をしなければなりません。修繕が不可能な状態の場合には、新たな社宅を提供することが義務になっていると言えます。

一方、社宅が会社所有であっても、社宅に住むかどうかは従業員の自由であった場合は、会社が所有している社宅という点での対応が発生する場合があります。

たとえば、社宅の構造上の瑕疵があって、それが原因で災害のために倒壊したというときには、会社が修繕等の対応をしなければならないと考えられます。また、倒壊の危険があることを知りながら、そのアパートを会社が従業員にあっせんしたなどの場合にも会社は、新たな居住可能なアパートをあっせんするなど対応をしなければならないと考えられます。

これも、2011.3.11のような大津波で流されたという場合は、会社の責任は発生しないと考えられます。ただし、労働組合などから対策を求められることはあるかもしれません。

したがいまして、会社が支配あるいは所有していて、従業員に居住を義務づけている場合には、修繕等、新たな社宅のあっせん、金銭的賠償などの対応をする義務が発生する可能性が高いと考えられます。

さらに、災害で社宅に住めなくなり、避難所から通勤させている状況になった場合には、従前より通勤費が増した場合に、通勤費の支払いを従業員から求められることが考えられます。

通常、社宅規程、尞規程などを整備している企業は多いと思います。今回のように災害で住めなくなった場合の対応について、詳細に取り決めをしておくべきと思われますので、平常時にあらためて、見直しが必要といえます。

                       (2012.10.04 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)

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