コラム

 公開日: 2012-10-03  最終更新日: 2012-11-06

36協定のない職場での災害の後始末

台風、洪水、地震などの災害はあったけど、会社の建物は無事だったことは幸いではありますが、中がぐちゃぐちゃになってしまったということがあります。水に浸ったり、泥まみれになったり、倒れたり、壊れていたり-----すさまじい状況になっていることでしょう。

会社としては早く後始末をして、早く正常化したいところです。そこで、会社は従業員を集めて、10時間、13時間と連続で、「がまんして、がんばってやってくれ」の掛け声のもとに、働かせることが考えられます。

こうした後始末の作業を行っている間は、無我夢中で従業員も早く復旧したいとの思いから何か問題にすることは少ないのかもしれません。しかし、正常になった後では、「残業つくんですよね」との声が飛び交うかもしれません。もちろん、会社は支払わなければなりませんので、法的には、ここに難しい判断はありません。

今回の問題は、会社が、従業員との間で36協定を結んでいなかった職場における残業です。

法は、1日8時間、週40時間を超えて働かせる、あるいは、法定休日に働かせる場合には、所定の要件を満たした36協定を会社と従業員が交わし、就業規則などに時間外規定を置くことを求めています。

ただし、これは平常時の事前に行う要請です。今回のような災害が原因で緊急に必要な場合の時間外労働についても、法は労働基準監督署の許可を条件に認めています。この許可は、事前に受けることが困難な場合、事後でも受けることが許されています。

もし、事後に許可を受けることもできなかった場合は、会社は、時間外の労働をさせた分の休みを与えなければならなくなります。今回、テーマになっている場合は、この災害時の時間外労働にあたると考えられます。

では、災害時であれば、後始末のために何時間でも働かせることができるのでしょうか。法は、いくら災害時であっても、「必要な限度において」と限定を加えています。したがいまして、災害の後片付けのために必要な範囲では認められるけれども、それを超える範囲までは認められないことになります。

たとえば、災害の後始末のついでに、会社の2階、3階の掃除もさせる、何か設備を入れ替えるなどの作業は、災害の後始末のための労働とは言えない可能性があります。やや、グレーですが、必要書類を探したり、取引先と連絡対応をしたりするなどの労働は、災害の後始末のための労働として認められる可能性があります。ただし、具体的な実態によることになります。

このように、災害時には、臨時で緊急の必要がある場合に該当すれば、36協定がない職場でも、行政許可により時間外労働が許されます。ただし、災害の後の処理のために必要な範囲に限定されます。

平常時から36協定は、有効期間を逸することなく、きちんと交わしておくことは最低限必要です。労務リスクにならないように、定期的にチェックしておいたほうがいいでしょう。

                       (2012.10.03 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)

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