コラム

2015-12-19

◆就業規則の抽象的な表現のあてはめはトラブルのもと

どんどん進む

雇止めや解雇といった、企業サイドがイニシアチブをとる雇用契約終了は相変わらず多くなっています。ハラスメントにしても、ケースにより雇止めや解雇という形、あるいは、強引に退職の意思表示を引き出す形で、雇用契約が終了する場合が多発しています。雇用契約終了の場面では、企業側からみると、問題化するリスク高い、労働者からみると、問題化した要素などを主張できることになります。

雇用契約終了の場面では、労働者に原因があるように操作したいとの企業の意図が働くことが多いため、労働問題化することが多くあります。このとき、多くの場合に理由として通知するのが、「勤務態度不良」「勤務成績不良」「能力不足」などの抽象的な表現です。

ご承知の通り、雇用契約終了が関係する場合、そもそも、何ら疑問もなく、これらの表現をそのままあてはめて雇用契約終了の理由にしてくることが、労働問題を発生させていると言えます。

就業規則の雇用契約終了の項目、とりわけ、解雇や懲戒解雇の理由には、例外なく上記の理由が規定されています。もちろん、規定の文言を使用すること自体には何ら問題はありません。しかし、それら抽象的表現を持出しても、まず労働者の納得性は得られません。むしろ、労働問題を作ることになってしまいます。

実務レベルでは、労働問題の発生のリスクを回避するには、就業規則にあるような「勤務態度不良」「勤務成績不良」「能力不足」になぜ該当すると判断できるかを明確にすることです。

たとえば、勤務態度不良であれば、いつのいかなる勤務態度がどのように不良なのか、そのような不良と認められる勤務態度が他にどのくらいあるのかなどを具体的にする必要があります。能力不足にしても、何がどのように劣っているのか、また、劣っていると評価するのはいかなる基準によるのかなどについて、具体的に伝える必要があるわけです。

つまり、就業規則の規定の文言をそのまま使うのではなく、規定内容にあてはまる事実を具体的に伝えることが重要になります。規則の条文規定をそのまま言っても、いつの、どの、いかなる行為が、そこにあてはまるのかが企業判断になりますから、その判断を伝えなければ、労働者は「なぜ?」「何が能力不足?、勤務態度不良?」などと疑念だけが残ります。ここが労働問題の発生根源になります。

「勤務態度不良」「能力不足」などに該当する事実の有無やその程度によって、雇用契約終了に値すると判断したことが求められますので、具体的な事実を説明し、その事実や程度が就業規則の規定に当てはめた場合に妥当と言えることが告知内容になるわけです。

ここまで伝えると、一定レベルで説明義務を果たしていることにもなり、伝えた、説明したということを含めて、告知方法のリスクは軽減することになります。労働者からみると、このような告知方法を取っていない場合は、説明義務の点でも問題視できることになります。

そのうえで、告知内容通りの契約終了に値する理由の有無やあったとしても程度はどうなのかなどの問題になります。企業側が無理に理由付けしている場合は、問題となります。企業は、上記のように具体的な事実を示す場合は、事実通りに示すことが重要であり、事実に反する内容は、偽装との評価を受けることにもなります。

能力不足や勤務態度不良などについて、具体的に伝えない場合は、労働者は、それにあてはまる事実がないとの主張をすることになります。つまり、具体的に伝えないことで、猜疑心で一杯になります。その意味でも、事実通り、具体的に伝えることは疑念を消し去ることにもなります。

同様のことは、整理解雇の場合の、「経営悪化」「数年連続で赤字」「赤字だから部門を閉鎖する」などの場合にも言えます。就業規則の抽象的な文言のままではなく、具体的な事実がこれだけあって、こうしたレベルで、当てはまることの妥当性を判断したことを伝えなければ労働問題は回避できないと考えられます。

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2015.12.19 社会保険労務士 亀岡 亜己雄

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