コラム

2012-09-29

採用(予定)者に対する災害を理由とする自宅待機や入社日の延長

企業では、毎年4月1日に、採用を予定していた者が入社となるのが慣例です。入社式を催し一斉に入社の日を迎えるところです。最近は、中途採用者の通年雇用も多く、年間を通じて人材の採用がなされています。

台風、竜巻、洪水、地震などの災害で何らかの被害を受けて、予定していた採用日に採用を実現できなくなることが想定されます。会社としましては、入社日を少し経過している中で、解雇するほどの状況にも達していない場合、雇用を維持するためにいくつかの対策が考えられます。

たとえば、入社日に入社させたうえで自宅待機を命じたり、採用日を延ばしたりすることが方法として考えられます。この場合、自宅待機や採用の延長の間の給料保障として、休業手当を支払わなくてはいけないのでしょうか。非常に気になるところです。

採用日の到来によって、採用内定者も雇用契約の中に組み入れられますから、会社の指揮命令下にある者になりますので、休業手当の支払義務が気になるところです。

災害による休業手当につきましては、他の休業手当のコラムでも触れておりますが、自宅待機の場合、会社に責任がある理由による休業に該当しない災害等の場合以外は、休業手当の支払が発生すると言えます。

ポイントは、会社が直接被害を受けて、運営が困難な状況にある場合は、不可抗力とされ会社に責任がある休業ではないこと、会社の直接被害でない理由で運営が困難な状況になった場合は、必ずしも不可抗力とは言えず、会社に責任が発生するかどうか分かれるところです。

後者の点につきましては、また、このコラムの別の機会で触れたいと思います。いったん入社をさせて、自宅待機を命じた場合は、自宅待機を命じた理由が、災害によるものとはいえ、会社に責任が及ぶ状況にあるか否かによって休業手当を支払う必要があるのかどうか結論が異なることになります。

また、採用日の延長の場合は、延長しなければならない災害の状況にあることが求められますが、そうであっても、従業員に十分な説明をして同意を得る必要があります。さらに、同意を得ても、できるだけ採用予定者(内定者など)の不利益にならないように措置をすることが求められます。たとえば、延長期間を極力短くするなどです。

休業手当の支払が必要になるかどうかの見極めは、
・自宅待機の場合は、会社に責任がある理由かどうかで分かれため、災害の実態と会社の運営困難という状況によって違ってくると思われます。

・採用日の延長の場合は、従業員への説明や同意等の手続面をしっかりやっているかどうかや延長する場合の従業員の不利益への配慮の程度(不利益緩和)などによって違ってくると思われます。

自宅待機や採用延長の措置については、実際に災害に巻き込まれてから考えていますと、迷っている分、日数がどんどん経過してしまうことも考えられます。平常時にある程度の方向性は打ち出しておく必要があると思われます。

特に、説明や連絡、不利益にならにようにする方法などにつきましては、事前に検討しておきたいところです。


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