コラム

2015-12-06

★「労災にあたる」を決めるのは誰か

どんどん進む


 労災保険制度は、労働者災害補償保険法に規定されており、法に基づく国の被害者救済措置です。治療費(療養の保障給付)、所得保障(休業補償給付)、健康保険を使って支払った場合、正当な理由がある病院までの通院交通費、装具費などが給付メニューとして用意されています。

これらが適用対象となるのは、業務上のけが・病気です。繰り返します、業務上のけが・病気です。そう、病気も対象なのです。一般に、企業は、けがの場合は、労災申請に動くことに抵抗はないものの、病気となると労災申請に動こうとしません。病気は、会社は関係ないと考えるケースが非常に多くあります。

けがの場合は、業務上か否かが、一般的な尺度ではっきり明確になりやすく、病気は、一般的な尺度では計り知れないということがそのような景色を生んでいるものと思われます。たとえば、脳梗塞、心筋梗塞といった、脳・心臓疾患、うつ病、適応障害、心因反応などの精神疾患などは典型です。

脳・心臓疾患、精神疾患に罹患した労働者の労災申請を率先して行う企業はまずありません。ただ、申請を行わないだけでも問題になるわけですが、「労災とは認められない」との企業としての見解を労働者にコメントしていることが大問題です。

企業が、無知だとは思いません。なぜなら、その気があれば、労基署に尋ねるなどして申請可能なんだとすぐにわかる話だからです。しかし、国に尋ねることもしません。最も、病気の場合は、ちょっと尋ねられた程度では、労基署もコメントはしませんが。問題は、結果ではなく、対応が誠実か不誠実かという点に集約されることになります。この部分で紛争が生じます。こうしたことの対応は、企業実務であり、いかに立派な就業規則があっても無意味です。

労働者が、自宅で倒れようが、職場で倒れようが、自宅で症状が出ようが、職場で症状が出ようが関係ありません。完全に労災ではないと判断できる場合(病気においてはそのような場合は皆無に等しい)意外は、労働者救済の一環として労災申請をすべきであると考えます。

たとえば、取締役や部長とて、ご自身のことで、健康保険や生命保険から給付があるかもしれないとの可能性が否定できない場合は、所定の機関に申請を試みることでしょう。労災も同じです。

企業の大きな間違いは、労災に該当しない場合は、労災申請をしないとの姿勢を強行に貫き、その理由を労災に該当すると判断できないためとしていることです。労災に該当するか否かを決定するのは、企業ではありません。国です。その窓口は、労働基準監督署であり、書類等に基づいた審査を経て判断されるのです。その審査手続きが、労災申請です。

企業に、労災の有無や該当非該当を決定する権利はありません。なぜ、病気のときだけ、労災ではないことを決定するのか、さほど深く考えなくとも、まか不思議です。労災は被災者救済措置として設けてあります。

労災を使うと国に講習を明示られたり、報告書を提出させられたり、労災保険料があがったりするから・・・そのような保身と利害を理由に、「病気のときは労災申請をしない。労災に該当するとは認められないと言ってはねつければいい」式の姿勢は、労働問題に直結する行為と受け止められます。企業のリスク回避の点からも、。労働者が病気に罹患した際も、被害者のためにまずは労災申請をスムーズに行ってほしいと切望します。

社会保険労務士17年、首都圏を舞台に、労務の整備・対策と労働問題対応をメインに走り回っております。
ほとんどの労働分野では、事前措置と事後対応が柱になります。


中小企業の事前措置と事後対応は以下で掲載しております。
⇒ 埼玉ろうむサポート

★労使共栄の社会実現を願って、首都圏は春日部から発信します★
2015.12.6 社会保険労務士 亀岡 亜己雄

この記事を書いたプロ

首都圏中央社労士事務所 [ホームページ]

社会保険労務士 亀岡亜己雄

埼玉県春日部市一ノ割1-7-44 [地図]
TEL:048-748-3801

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
主な業務実績等

★業務実績・企業の労務顧問、労務相談(年平均500件の対応実績)・中小企業の経営分析業務、管理会計研修・中小企業の人件費管理・中小企業の労務リスク対策・...

 
このプロの紹介記事
労務監査、労務分析による労務リスク対策を得意とする社労士 亀岡亜己雄さん

企業内の労務リスクマネジメントは企業の経営資源の適切な活用の第一歩(1/3)

「最近の労働問題は、人材の募集や採用、配置、異動、人事考課や昇給、昇進など労務管理にまつわる事柄のほか、経営者の発言や決めたことの押し付けなどが原因になっているケースが散見されます。データ上最多であるパワハラ、いじめ・嫌がらせに関しては、上...

亀岡亜己雄プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

採用から退職までの助言と支援、労働問題の事前措置と事後対応

事務所名 : 首都圏中央社労士事務所
住所 : 埼玉県春日部市一ノ割1-7-44 [地図]
TEL : 048-748-3801

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

048-748-3801

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

亀岡亜己雄(かめおかあきお)

首都圏中央社労士事務所

アクセスマップ

プロのおすすめコラム
◆「始末書を書け」と命じることはできるか
イメージ

日々、相談を受けている中で、多くの事案で登場するものの一つに「始末書」があります。「始末書」は、雇用社...

[ 裁判例に見る労務:始末書・誓約書等 ]

★定年前の無期雇用と定年後の嘱託有期雇用の労働条件の相違が不合理とされた例
イメージ

 嘱託有期雇用の賃金低下措置に問題を投げかける判決  一般に、多くの企業では、一定年齢により定年と...

[ 裁判例に見る労務:嘱託雇用、有期雇用 ]

◆メモやノート等はパワハラにおける損害賠償請求の役に立つのか
イメージ

パワハラは、労働問題の中でも証拠が残しにくいと言われている分野です。その足元をみてか、企業サイドは、...

[ 裁判例に見る労務・パワハラ ]

★パワハラの行為類型に関する情報の留意点
イメージ

 パワハラの当事者は、ネット上の種々の情報からパワハラにあたるか否かを判別する手掛かりを見出そうとし...

[ パワハラ ]

◆就業規則の抽象的な表現のあてはめはトラブルのもと
イメージ

雇止めや解雇といった、企業サイドがイニシアチブをとる雇用契約終了は相変わらず多くなっています。ハラスメ...

[ 雇用時事ニュースから見える労務 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ