コラム

 公開日: 2012-09-27  最終更新日: 2012-11-06

避難した従業員の欠勤の長期化を理由とする解雇

甚大な被害となった地震や竜巻、台風、あるいは土砂崩れ、河川の氾濫などの災害により、従業員が避難している状況になってしまうことが考えられます。

会社に被害がなくても、従業員の側に避難する状況がある場合ですから、会社としては「早く出てきてくれないか」と切に思うものです。しかし、その思いとは逆に、現状ではなかなか出勤してこられそうもない場合に、従業員が長く欠勤してしまうことが想定されます。

従業員のほうも、災害だからしょうがないと考えてしまうものです。このような場合に、会社としましては、これ以上待てないとして、長期欠勤の従業員に対し、それを理由に解雇できるのか問題になります。

災害による避難から長期欠勤している、これを理由とする解雇の性質を吟味する必要があります。従業員には、何か会社内で秩序を乱したとか、著しく勤務態度が良くないとかなどの事実はありませんから、懲戒解雇には該当しそうにありません。

また、会社の経営困難や経営合理化ということもありませんので、リストラ(整理解雇)にも該当しないと言えます。

すると残りは、普通解雇に該当するかどうかということになります。普通解雇の場合、就業規則の解雇理由が定めてある場合は、就業規則の解雇理由に該当するか検討する必要があります。

ただし、表面上は、就業規則の解雇理由に該当しても、就業規則の解雇理由の規定自体に合理性(理由としておかしくない)があるかが求められます。

次に、就業規則に解雇理由の定めがない場合には、今回の解雇理由に合理性があるかどうかが法的に判断されることになります。

今回のような避難による長期欠勤を理由とする場合、長期欠勤してはいるが、近いうちに復帰ができそうな状況がみえている場合は、復帰を待たずに解雇しなければならないような相当な理由がさらに必要になると言えます。

このような場合、会社がリスクを負わないようにする視点から、よほどの理由がない場合は、可能な限り解雇を避けるようにすべきと思われます。

さらに、解雇という会社の行為が、一部の従業員に対して行う場合や過去に同様の状況のときには解雇がなかったのに今回は行う場合は、解雇は酷ではないか(社会通念上の相当性)との点から、解雇が認められない可能性が高くなります。

災害により長期欠勤している従業員の解雇につきましては、まず、長期欠勤の理由が正当と認められるかは微妙と言えます。

また、解雇理由の正当性が認められるとしても、過去や他の従業員に対する取り扱いと比較して、解雇は厳しすぎると評価される可能性もあります。

以上を総合的に考えますと、災害による避難から長期欠勤している従業員の解雇につきましては、ハードルが高く、簡単にできるものではないと捉えておく必要があるようです。

近年、解雇問題は、相変わらず、労働問題御三家の1位に君臨する状況からしますと、より慎重な対応が求められるところです。

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