コラム

2015-05-15

★自己都合か会社都合か-離職理由の処理について

パワハラ

労使双方、つまり、労働者と会社の双方とも労働者の退職の際に、自己都合か、はたまた会社都合かとまるで2者択一であるかのように離職理由を考えます。とりわけ、労働者にとっては離職理由によって、感情的に納得できないことになるし、何より事実通りに処理されていない場合は許せない気持ちがエスカレートすることにもなります。

一般的に、企業は、労働者が退職届や退職願を提出したり、退職の意思表示をしたりすることで「自己都合」とみなすようです。そもそも自己都合か会社都合かという話は、離職理由を言っており、退職の意思表示をすることで自己都合となるものではありません。

問題は、「労働者が退職の意思表示をするに至った理由は何か」を把握しない限り離職理由はみえないことにあります。その昔、労働者が「会社を辞めます」と上司に告げると、上司は誰もいない会議室などで、「えっ、やめる?理由をきかせてくれ」などとたずねたものです。

実態としての近年の企業対応をみておりますと、辞めるという労働者に離職理由を確認している例はほとんどないように思われます。離職理由は、失業者となった労働者が支給を受ける失業手当や再就職手当などの雇用保険法上の支給手当に大きな影響を与えます。

雇用保険法上の離職理由はどうなっているかをみるためには、会社が作成する「離職証明書」の右半分にずらりと区分けされた数々の離職理由が最も適しております。そこには、「自己都合」「会社都合」といった言葉はありません。そのような大きな分類はないのです。

もっと具体的な離職理由がわからなければ、「離職証明書」の離職理由にはチェックができないようになっています。最近では最終的に、退職届を取得しようとする企業が著しく、取得するとプロセスが解雇、期間満了退職、職場環境の悪化による退職などは無関係に最後に労働者から退職届を取得することで、離職理由を「一身上の都合」とするケースが多くなっております。

非常に企業側に大きなリスクが生まれる手法のうえに、真実の離職理由を見ないで処理をしたことで「一身上の都合」を作出した行為として残ってしまうものです。労働者はこうした行為を黙認しません。

そもそも「一身上の都合」とは何か、“正当な理由のない個人的事情”、言うなれば身勝手な理由というものになるかと思います。雇用保険法の失業手当に関して言いますと、一般的に言われる自己都合退職にも、失業手当が3か月支給停止になる自己都合退職と支給停止にならずにすぐに支給される自己都合退職があります。前者は一身上の都合のように正当な理由のない退職である場合であり、後者は、一身上の都合とは異なる正当な理由のある退職の場合になります。支給停止の有無ばかりではなく、雇用保険の被保険者期間の長さによっては、給付日数までも前者と後者では2倍3倍と違ってきます。

離職理由の詳細は雇用保険法に準じて処理がなされることが重要です。それを表しているのが離職証明書(離職者には3枚目の離職票2が届く)の右側の離職理由です。このようにみると、会社都合か自己都合かという大きな分類はさほど意味をなさないものであり、詳細な離職理由だけが意味をなすのです。

企業が労働者から退職届を取得さえすれば、すべて「一身上の都合」として処理できるのであれば、離職証明書の右側の他の理由区分はまったくお飾りということになります。労働問題のリスク回避からも、正しい真実の離職理由で処理されることが重要になります。

【2015.05.15 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄】

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