コラム

 公開日: 2012-09-26  最終更新日: 2012-11-06

災害時の避難勧告(指示)による従業員の休業と休業手当

地震後の津波の危険、河川の氾濫、洪水、火災などの場合は、「避難せよ」との勧告や指示がなされるものと思われます。避難勧告や指示は、危険を避けて安全を確保する意味から、緊急性と重要性を持つものです。

この避難勧告や指示には、行政が行うものと会社が独自の判断で行うものが考えられます。こうした避難勧告や指示があって、従業員を休業させざるを得ない場合、会社は休業手当を支払わなければならないのか、非常に気になるところです。

休業手当に関しましては、以前のコラムでもご案内しておりますが、不可抗力などの会社に責任がない理由による休業の場合には、会社は休業手当を支払う必要がないことになります。

そこで、行政からの避難勧告(指示)があっての休業の場合は、行政指導等を理由に事業の継続ができなくなったことによる休業と類似して捉えられると思われます。この場合会社は、行政の指示にしたがっていますので、むしろコンプライアンスの姿勢を取ったと判断することが可能です。

コンプライアンスの姿勢をとることは望ましいことですから、会社に責任を問うのはあまりにも厳しいということで、休業手当の支払い義務までは会社にないと言えます。

次に、行政からの避難勧告(指示)がないものの、会社の判断で従業員に避難指示を出し、会社を休業させた場合はどうでしょうか。

地域的に全体が危険になっているわけではないが、会社の建物がある場所だけが危険になることが予想されることもありうることです。また、津波や河川、水かさの状況から今後危険な状態が起こることもありうることです。

普通に考えますとこのような場合は、安全を考え行政の避難勧告(指示)がなくても、独自に避難指示をすることも当然と言えます。会社の自主的判断とはいえ、避難指示もやむを得ないことと言えそうです。

会社の避難指示で従業員を休業させる場合は、「避難せよ」と指示したことが適切であると客観的に判断できるのであれば、行政による避難勧告(指示)と同様に考えられます。このような場合は、会社に責任がある理由による休業とは言えず、会社は休業手当を支払う必要がないと考えられます。

行政による避難勧告(指示)と異なり、会社の自主的な避難指示は、避難指示の適切性の判断が非常にグレーではっきりしない場合も考えられます。

あくまでも実際の災害状況等により対応することになりますので、事前に必ず休業手当の支払い義務がないとまでは言えないと受け止めておく必要があります。したがいまして、会社の自主的な避難指示による休業に関する休業手当の支払は、事後的な判断にならざるを得ない側面もあることを心得ておくべきと思われます。

仮に就業規則等に会社の避難指示による休業に関しての休業手当について規定を設ける場合には、これまでのことに留意して、規定の内容や文言を慎重に検討すべきものと思われます。

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