コラム

 公開日: 2012-09-25  最終更新日: 2012-11-06

災害により交通機関が停止した場合のタクシーや宿泊の費用

地震や竜巻などの災害時だけではなく、台風や洪水などの場合、それ以外の災害時でも、交通機関、特に電車の運行停止は十分に予想されるところです。

2011.3.11の際には、交通機関の停止や乱れから、帰宅難民と言われたほど、数百万人規模の帰宅困難者を生みました。居酒屋や喫茶店などで一夜をすごす選択をした方々はともかく、徒歩で数十キロの道のりを帰宅した方々、途中で自転車を購入し帰宅した方々など非常に苦労に苦労を重ねて自宅に帰ったようです。

そんな中、従業員が、帰宅の手段としてタクシーを利用した場合、あるいは、無理に帰宅せずに、ホテルなどの宿泊施設に泊まった場合に、会社はその費用を負担しなければならないのでしょうか。通常の災害でも起こりうることだけに考えておきたいところです。

ちなみに、財団法人労務行政研究所が公表しております「緊急アンケート東日本大震災への企業の対応」によれば、実施したアンケートの回答をした企業の50%以上が交通費を全額支給し、一部支給したを含めると6割近くの企業が交通費を支給したとのことです。

また、宿泊費については、費用負担よりも、宿泊所をあっせん・提供した企業が15%以上ありますが、8割近い企業が会社の施設を開放したようです。

詳細はこちらです ⇒ http://www.rosei.or.jp/data/research/2011/0412/11569.pdf

まず、災害によって電車等の交通機関がマヒしてしまうことは、従業員と会社の双方とも、事前に確定的に想定できない事態です。この点からは、会社に責任はなく、費用を会社が負担すべき義務はないと言えます。

次に、会社の就業規則等に、災害時の交通機関運休の場合の特別な交通費や宿泊費を補てんする規定が定められているかどうか確認する必要があります。定められている場合には、会社は従業員にその規定にしたがって補てんする必要が出てきます。

もっとも、そのような規定がある場合でも、費用補てんの条件がどうなっているかによりますので、あくまでも、条件にあてはまる場合ということになります。

さらに、会社に労働組合がある場合には、上記の規定がなくても、団体交渉によって費用負担を求められるケースが考えられます。この場合は、会社と労働組合の交渉の結果次第で、結論が変ってきます。

また、宿泊費ですが、災害により交通機関に影響が出たというやむを得ないこととはいえ、ホテルなどに宿泊しなければ、出社などに支障をきたすような場合でなければ、会社がその費用を負担するかどうかは任意になります。

宿泊しなければ出社などに大きく支障がでることがはっきりしている場合であれば、会社は出張宿泊費のように業務上の経費として扱われますので、宿泊費を負担することが考えらえます。

ただし、この場合でも、宿泊することが業務を行うために必要で、かつ、宿泊費の額が会社経費として合理的なレベルの範囲であることが求められることになると思われます。

なお、以上のように見ますと、災害時に交通機関に支障が出た場合に、通常の方法ではない方法で帰宅したとき、宿泊したときなどについて、合理的な条件等も考慮のうえ、予め就業規則等に取り決めをしておくことによって、いざというときにあてはめがスムーズになると思います。

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