コラム

 公開日: 2015-02-18 

★医療機関は客観的視点が求められる

社会保険労務士 平均賃金


医療機関における労働問題が多く発生しているようです。裁判例においても医療機関の労働訴訟は後を絶ちません。問題が起きている医療機関の状況を具にみますと、ある共通点がみえてきます。

医療機関は、言うまでもなく、傷病を患ったなどの患者の診断・治療を行うのですが、労務に関しましては、きちんと学んだと思えるケースがほとんどなく、亜流我流で行ってしまっているようです。医療機関も経営ですから、財務、労務などの管理部門同等の機能が存在します。

一番の旗振り役は院長になりますが、労働問題が起きている医療機関にみられるのは、院長が方針を示していない、明確なルールを示していない、それらがあっても内容が客観的でない、場当たり的対応になっているなどの問題です。

職場で働く従業員を動かし、気持ちよく働いてもらうためには、社会に通ずる客観的な視点が必要とされます。多くの場合、主観的もしくは感情で、相談を受け、指示命令を発しているようです。

アメリカでは、院長がいるものの、実際の経営は、コンサルタントなど経営の専門家が行っていると聞きます。日米の環境や考え方には差があり、日本ではまだそのような状況を整備することはなじまないのかもしれません。

現状では、院長自ら旗振り役となって、客観的視点で方針を出し、指示命令をすることが求められます。医療機関内の人格権侵害行為(例えば、いじめ・嫌がらせ行為、セクハラ行為など)はとりわけ多発しています。

また、とても正当な理由には該当しえない、あるいは理由のない、無理な解雇が頻発しています。解雇という言葉を言わなければ解雇にならないというのは正しい理解ではありません。

労働基準監督署に訊ねると、解雇通知書がないから、解雇って言われていないのでしょうなどと労働者の方は言われるケースがあるのですが、労基署はそもそも解雇されたと言えるのか否か、不当解雇か否かを判断しません。一般民事の世界なので、民事不介入である労基署は、その業務範囲外なのです。医療機関でも、労基署に訊いたら解雇とは言えないと言ったという声を聞きますが、その労基署のコメントは正しくはありません。

これらの労基署の回答を得ても、労働問題の解決にはなっていないわけです。医療機関独自の就業規則や院内ルールなども多く見るのですが、主観的な条項が多く見られ、違法となる条項も多く並んでいます。

労務は、感情や考え方が異なる生身の人と接触する領域を客観的な秩序を以って画一的に統一していくことが求められます。労務の領域は白黒が明確になる内容は非常に少なく、多くがグレーな内容です。財務とはまったく異なるのです。雇用は契約行為ですから、感情や主観で行うのではなく、ぜひ客観的な視点で行うようにして、労働問題が浮上しないようにしたいものです。

【2015.02.18 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄】

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