コラム

 公開日: 2012-09-22  最終更新日: 2012-11-06

災害で1年単位の変形労働時間制が不適切な場合の労使協定の締結し直し

災害は、まさに、忘れたころにやってくるものです。全国各地で津波対策、避難訓練などが盛んです。普段から少しでも対策を検討しておくことはとてもいいことで、実際の災害にもその経験が対応を少しでも適格かつ早くすることにつながるとも言えます。

労務の舞台は、実地訓練するわけにはいきませんが、どう対応しようかを考えておくことは可能です。今回のテーマもその一つです。繁忙期と閑散期などの適切な勤務体制から1年単位の変形労働時間制をとっている企業が多くあります。

しかし、ひとたび大きな災害に見舞われれば、その勤務体制がくずれることになります。こんなときどう対応すべきか思案しなければなりません。

まず、労働時間の原則は、言わずと知れた、8時間(1日)と40時間(1週、ただし、一部の小規模の特例事業を除く)ですが、1週間単位や1か月単位、そして今回の1年単位の変形労働時間制は、原則が適さない場合に、働かせ方の例外として法で認められているものです。

ちなみに、1年単位の変形労働時間制は、3か月、6か月といった期間による変形労働時間制も可能になっています。1年単位の変形労働時間制の手続的な要件は、1年という期間内の労働日と労働日における労働時間を特定し、労使協定(会社と従業員との合意)を結ぶこととなっています。

その際、労働時間については、1年を平均して1週あたり40時間以内とし、休日も1週1日を確保するようにすることが必要です。ここまでは、けっこう細かい1年単位の変形労働時間制に関する決まりのお話しです。

問題は、災害によって、このような決まり通りの体制をとることが難しくなったときにどうすればよいかです。平常時であれば、労使の合意があっても、1年の途中で変形労働時間制の適用を中止することはできないと結論がはっきりしています。

今回は、災害時という緊急性のある場合ですから、災害よる被害状況と従業員の勤務体制との関係にもよりますが、一概に不適当とも言えないようです。国は、2011.3.11の際にもこの点に関する方針を発表しています。

それによれば、「当初の予定通りに1年単位の変形労働時間制を実施することが企業の経営上著しく不適当と認められる場合には、労使でよく話し合った上で、1年単位の変形労働時間制の労使協定について、労使で合意解約をしたり、あるいは協定中の破棄条項に従って解約し、改めて協定し直すことも可能」としています。

ポイントは、1年単位の変形労働時間制の継続が経営的に適切でないことが、著しいことと言っていることです。この点では、不適切であることの程度や内容によっては、協定し直しが認められない可能性もあると思われます。

それが認められる場合には、協定のし直しが認められる可能性があると思われます。

注意点としましては、
・法定の労働時間を超えて働かせた場合は、たとえ災害でも割増賃金を支払う必要があること
・休日の振替は、事前に振替日を特定して行うこと
・労使協定上で特に業務が繁忙な期間(=特定の期間)以外の期間では、連続労働日数を6日以内にすること
・特定の期間では1週1日の休日の確保をすること
となっており、2011.3.11の際にも、改めて告知がされておりました。

災害時には、災害と従業員の勤務体制の状況との関係を検討のうえで、1年単位の変形労働時間制が著しく不適切である場合には、労使協定の見直しが認められる可能がでてきます。2011.3.11の国の方針と告知が、ある程度方向を考えるうえで参考になると思われます。

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