コラム

2012-09-20

災害によるけがで欠勤する従業員の休職と退職の取り扱い

台風や雷雨、竜巻、地震など日本はいつ自然災害がやってきてもおかしくはないようです。こうした災害時には、運悪く、かわらが飛んできた、木が倒れてきた、電柱が倒れた、看板が落ちてきたなどに遭遇し、けがをすることがあります。

以前のコラムで触れたような業務と結びついている場合でなければ、この場合のけがは、業務と無関係である個人的なけがとなります。

けがの程度が打撲程度であれば影響はありませんが、従業員の負ったけがが大きなものである場合は、数か月休んだり、休まないまでも治療のために安定した勤務にならないことが想定されます。

このような場合に、会社としては労務的にどう対応したらいいか迷うところです。通常、就業規則が整備されている会社では、けがを治すために欠勤する必要がでてきた従業員に対し傷病の休職命令を発令し、一定の休職期間が満了しても復職できない場合は退職となるという取り決めがあると思われます。

休職は、業務外のけがなどによる欠勤ですぐに雇用契約を解約するのではなく、しばらく様子をみましょうという、いわゆる雇用契約解除の猶予期間として理解する必要があります。

復職できない場合の措置として、休職期間満了による退職(自然退職)とするか、解雇にするかは就業規則の取り決めによりますのでそれに従うことになります。自然退職は、ある時期がきたときに退職が確定することで、定年や期間の定めがある雇用契約などがあります。

このように就業規則に規定がしっかりあるとすると、休職期間が満了して復職できない場合に雇用契約を終了すると取り扱うことは、合理的と言えます。

ただし、休職命令を発令する必要があるか、休職期間が適切か、復職が可能かという、決定した雇用契約の終了という措置が妥当かどうかに関係してくる問題があります。これらの要素は、就業規則の取り決めがあることだけでは見えてきませんので、慎重に検討する必要があります。

休職期間満了による退職は、解雇に等しいと考えられますので、解雇が濫用にあたるかどうかと同様の、例の2段階チェック(正当な解雇の理由、解雇は厳しすぎないか)をあてはめた場合に問題にならないかをみる必要があります。

たとえば、就業規則にハッキリと取り決めがあっても、半年の休職期間満了で退職と取り扱うことは、一般的な見方(社会通念上)からは、短いとされる場合もあります。

たとえば、経理や営業など常に継続して実施する業務の場合が考えらえます。逆に、一時のプロジェクトのための雇用などの場合は、休職期間満了による退職が認められる可能性がでてきます。

復職の可能性や該当する従業員の業務の内容や性格などを考慮して、個々のケースごとに判断しなければなりません。特に、復職の可能性は、休職期間満了による退職の取り扱いの中では、問題になる場合が多いのですが、詳細は、別な機会に触れたいと思います。

実は、労務の領域では、休職期間満了による退職は、休職命令の発令、休職期間の長さ・与え方、休職期間満了と退職の取り扱いなどの点でよく問題になります。就業規則に定めがあることは必須ですが、それだけでは判断できませんので、従業員に不利益にならないように慎重に取り扱う必要がある分野になります。

大きな災害の場合でなくとも、今回のような休職と退職の取り扱いにつきましては、テーマになりますので、ときおり吟味することをおすすめします。

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