コラム

2014-07-15

◆労働問題の相談が多い「自己都合退職」

ネット パワハラ けんか


厚生労働省が昨年の労働相談件数を公表していますが、専門家のブログなどでも話題として取り上げられておりますのは、100万件超える高止まりで推移しているほど労働問題が多発していること、いじめ・嫌がらせが解雇を抜いて2年連続でトップであることです。これらが短絡的に述べられているように思うのです。

⇒ [厚生労働省[平成25年個別労働紛争施行状況 http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10401000-Daijinkanbouchihouka-Chihouka/0000047216.pdf]]

上記のことに着目することは非常に重要なのですが、「解雇」「いじめ・嫌がらせ」などの問題領域が、それぞれ交わりを見せていることに特徴があります。それは、厚生労働省が公開している統計データの特徴の1つにすぎず、しかも、その点について厚生労働省が明確に言及しているわけでもありません。

たとえば、「解雇」と一口に言っても、「退職届を書け」「今日で退職になる」「退職を勧められた」などが、労働者にとっては、イコール解雇という主張になる態様ですから、純粋な使用者のみの雇用契約を解約する意思表示のパターンだけを捉えているデータと見るのは早合点です。

「いじめ・嫌がらせ」も同様に、いじめ・嫌がらせ行為により退職に追い込まれたという態様が主張されますと、労働者にとっては、合意解約や自己都合退職などでは決してなくなるわけです。そういう意味では、各問題領域は完全に割り切れるものではなく、交わるものであると言えます。

そんな中に混じって、「自己都合退職」問題が3番目に多く目立っています。この問題は、解雇、退職勧奨、契約期間満了による退職などを企業が自己都合退職と処理をしたことによる問題である場合が多いでしょう。自己都合退職は、労働者の個人的事情によるものに代表されます。

労働相談件数で1位になったパワハラ、いじめ・嫌がらせ問題で退職になった場合、精神的に耐えられず、あるいは、これ以上勤務することが困難になって労働者が退職を余儀なくされるケースがほとんどです。そのように労働者が判断してやむを得ず退職に至ったものは、個人的事情には該当しないということになります。

こうしたケースを自己都合にすることには、企業リスクが伴いますし、あっせんや労働審判においても、離職理由が異なるという労働者からの異議申立になって表面化します。この手の労働問題が多発していることの現れが、第3位「自己都合退職」が33,000件もあることの大きな特徴になっています。問題企業のリスク回避は、雇用保険手続書面の離職証明書の右側の離職理由を心して取り掛かることにあると思う昨今です。

【2014.07.15 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄】

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