コラム

 公開日: 2014-06-06 

★中小企業における就業規則作成の留意点


就業規則には様々な目的や効果がありますが、規則というと小規模企業は敬遠しがちです。それは、規則を作ることで、従業員に見られて、対応しなければならなくなるケースが増えると考えられること、法律を守らなくていけなくなることを懸念するからです。

もちろん、このような思考は、コンプライアンス以前に、まず、社会的思考の点で問題になるものと言えます。そもそも、言うまでもなく、就業規則は、従業員に知らしめなければならず、そのためにはできるだけ就労に関すること、その他、労使関係に関することは、職場のルールとして出来る限り明らかにすることが望ましいと言えます。

一般に、規則と名がついていることやどうしても労働基準法が前提になることなどから、就業規則は、労働基準法にしたがうべきものなどの法律と同視して考えがちになります。しかし、各企業が独自に労使関係の潤滑油になるような就業規則として、個別の考え方をどのくらい盛り込んでいるかという視点で見なければいけません。

例えば、パワハラの規定にしても、規定の仕方、内容など企業の特徴がでてきます。過去の経験や現状に合わせて考えることは禁物です。少しでも起こり得ることを大きな分類として拾い出し、そこから検討をスタートすることも一案です。

最もやってはいけないことは、総則から始まる暫定的な出来上がりのモデル規定を専門家に出してもらい、就業規則作成の打ち合わせをすることです。モデル規定に既に整っている内容に左右され、あるいは、それが基準となり、自社に必要な内容にならない、必要な事項が漏れる要因になります。すでに存在している規定の思考に流されるからです。

最も考えてはいけないことは、どの企業も就業規則など守っていない、ない企業だってあると、みな赤信号を渡っている式に考えることです。このような主観的な後ろ向きな思考からは、労務秩序がしっかりする、よい労使関係の源になる就業規則が作成できることはありません。そのような思考でも就業規則を作成したいとお思いの場合は、雛型就業規則を用いて形だけ整えた方がましかもしれません。

就業規則は、作成ありきになってはいけません。作成2割、運用8割です。多くの企業は運用ができていません。また、多くの専門家が作成ありきのコマーシャル活動を展開しますので、作ればいい式になりがちです。しかし、最も重視すべきは運用であり、運用できない規定は、検討しましょう。かといって、運用できないからとそぎ落とすべきでない規定もありますので注意しましょう。また運用したくないことと運用できないことはまったく異質なものです。運用したくないという基準でそぎ落とすことのないようにしたいものです。

就業規則は、経営者が一方的に作成できてしまいます。しかし、就業規則はダイレクトに契約内容になることを肝に銘じ、その昔言われた、会社の寿命30年の労務土台を構築するという思考で、長期レンジで見つめる将来目線が重要です。

【2014.06.06 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄】

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