コラム

 公開日: 2012-09-18  最終更新日: 2012-11-06

原子力発電所周辺から避難してきた応募者に対する検査命令

2011.3.11の東北地方太平洋沖地震では、海岸沿いの人、町が津波により跡形もなくなりました。町そのものがなくなったという甚大なものでした。それに輪をかけるように、今度は、福島第一原子力発電所の被災による放射能の拡散問題がやってきました。

原子力発電所から数十キロ離れている住民はみな避難を余儀なくされました。廃炉にするには40年かかるとも言われてますので、もう、地元に戻ることを諦めている方々も大勢います。原子力発電所を襲った波の高さは、15メートル以上にもなったと伝えらえています。一たまりもありませんでした。

その後、避難民だけではなく、福島県というだけで、まるで放射能で汚染されているかのような扱いが報道されました。食物などにも大きな影響が出て打撃をうけたのでした。

避難民の方にとって、就職したいというのが第一でしたが、応募すると企業側は、福島県ということで断ったり、放射能検査を受けてきてという対応をしたところが多くありました。今回は、企業のこのような対応が問題にならないかというお話です。

企業サイドの気持ちはよくわかりますし、採用に関しまして基本的に企業の自由であると考えられます。しかし、客観的な見地に立って判断すべきものでなければならないと思われます。風評被害とは言いますが、風評で判断することは避けなければなりません。

当時、放射能医学総合研究所は「放射線被ばくに関する基礎知識サマリー版第1号〔Ver1.0〕の公表について」(2011.4.8公表)の中で、除染が必要な方はいない、その方を受け入れても、受け入れた方に影響がない旨を述べており、まったく問題ないと明確にインフォメーションしていました。

ちなみにこちらです ⇒ http://www.nirs.go.jp/data/pdf/i13_j1.pdf

採用する会社側は、このような客観的な情報を無視したり、これに反対な態度をとることは、会社のイメージダウンのほうになるかもしれません。会社は社会的な判断が求められますので、これらのより信頼度のある情報をキャッチして行動すべきと言えます。

さらに、放射能検査等を受けるような命令が有効かどうかですが、放射能検査等を受けないと面接を受け付けないということであれば、就職差別に該当してしまうと考えらえます。
また、面接は形式的に受けさせたが、採用を断った理由が放射能検査を受けなかったことである場合には、やはり就職差別にあたると考えられます。

法的には、不当な差別により不利益を受けたとして損害賠償請求される可能性もありますから、リスクを排除し、企業イメージを悪くしない趣旨からも、放射能検査などを受けることにかかわる差別はできないと受け止めておくべきです。

また、採用は基本的に自由とされますが、差別に該当する場合は、行政指導の対象にもなっています。採用に関する差別的取扱いは、行政指導もしくは損害賠償の対象になることがあり得ますので慎重に対応すべきと言えます。

応募者も会社側も、客観的に公表されている事実に基づいて、正確に受け止めるようにしたいものです。決して、ワイドショーや周囲の風評に流されることのないように慎重に対応しましょう。

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