コラム

 公開日: 2012-09-17  最終更新日: 2012-11-06

災害で業績が悪化したことによる試用期間中の従業員の解雇

会社自体は、営業することが可能でも、取引先や一般消費者など営業上の周辺の関係者の災害の影響で、会社の業績が悪化することが考えらえます。災害の影響によるものですから、通常の広告宣伝活動などの一時的戦略で対応できるものでもありません。

このような場合、会社としましては、従業員の雇用を維持することが非常に難しくなってきます。会社としては、全体の人員削減という方法を取るほどでないにしても、正式に採用としていない試用期間中の従業員を削減することでカバーしようとすることが想定されるところです。

試用期間中の従業員の身分は、雇用契約が成立しているものの、試用期間そのものは、適性や能力をみるための一定の期間(不当に長くない期間)を指しています。試用期間が満了して、十分やっていけると判断した場合は、入社時に遡って本採用になるのです。

一方で試用期間は、適性等がないと判断した場合は、会社が解雇できるという権利がある期間ですから、該当する場合は解雇できるのです。よく、試用期間中だから解雇できると理解されている場合に出くわしますが、そうではありませんので注意が必要です。

たとえば、3か月の試用期間となっていれば、3か月の期間満了を待って本採用するか否かを決める約束をしたということです。普通に考えると、期間の途中で解雇することは契約違反ということになります。

しかし、やむを得ない理由が認められることで、期間の途中であっても契約を解約できるという期間の定めがある雇用契約(有期雇用)の場合にならって考えることはできます。そうすと、試用期間中でも、やむを得ない理由が認められる場合は、契約を解約できることになると言えます。

次に、解雇できる理由ですが、災害により会社が直接被害を受けたことによる業績悪化は、理由として認められる可能性が高いと思われます。ただし、この場合でも、試用期間中の解雇が認められるほどの業績悪化でないと判断される可能性もありますので、個別の状況により判断することになります。

取引先や一般消費者の被災によって、会社が業績悪化となった場合は、試用期間中の契約解除が難しい場合もでてきます。会社の業績悪化の原因、悪化の程度、経営への影響などを総合的に判断して検討することになります。

従業員と会社との雇用契約関係を考えますと、たとえ災害による業績悪化という状況がある場合でも、試用期間中の従業員の解雇を避ける方法を模索すべきと言えます。会社には解雇回避が求められることになるからです。

そのうえで、どうしても避けられない場合にも、試用期間の満了を待てないかどうかの検討をすべきと言えます。ここまでの段階を踏んだうえでのやむを得ない解雇である場合は、解雇せざるを得なかったことが認められる可能性は高まると考えられます。ただし、先に触れました、解雇しなければいけない理由が認められることが前提です。

一般に、日本では、解雇が絡む状況になった場合は、解雇という方法をとることに極力慎重になることが求められると言えます。


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