コラム

2014-03-10

◆安易に有期雇用にすべきではない

近年、規模を問わず、労働契約を有期に設定する企業が増加しています。なんのためらいもなく有期雇用契約にしているように思えます。しかし、一たび労働者によって、契約問題になった際に、そもそも有期労働契約自体が妥当なのかどうかが主張の一旦になることがあります。

有期労働契約の問題と言いますと、典型的には雇止めが自動退職か解雇かという問題であり、定式化された判例法理(労働契約法19条に条文化)を根拠に違法性の判断がされているところです。しかし、そもそも、有期雇用契約に設定する必要性がないのに、つまり、正当な目的や業務上の必要性がないのに、他の趣旨で有期雇用にしていることが見えるとき、労働問題をエスカレートさせる要因にもなりかねないのです。

たとえば、有期労働契約の契約期間が1か月に設定されており、1か月ごとに更新する手法をとる企業や6か月の有期雇用契約を5年にもわたって更新し、突然、有期労働契約の期間を2か月にする企業などがみられます。

前者の例は、そもそも、有期雇用契約を締結する目的の点から、必要以上に短期の労働契約を反復することのないようにという、労働契約法17条2項に抵触する問題であり、後者は、契約期間の短縮が労働条件の不利益変更と考えられるため、労働者への説明と個別合意が必要になると考えられます。

特に、派遣労働契約において、非常に短期の契約期間の設定がなされている場合が多く、派遣労働者の雇止めの問題に付随して、設定された契約期間の違法性が、業務上の目的や必要性から問われることになっている例が増えています。

こうした問題が生じる背景は、有期労働契約は、文字通り期限がある契約ですから、ある日付けが到来することによって、「契約終了」として処理することが非常にやりやすいと考えられていることにあります。

日付けが到来することで契約終了にできるという安易な考えのもと、制度を構築・運用しておりますと、いつの間にか大きなリスクを背負うことになります。最近、ある企業例で、求人票上は、無期雇用の正社員として募集しておき、採用後の実態は、6か月の有期雇用のパートの取扱いだったというのがありました。

ここまで食い違いが存在しますと、いくら求人広告である(申込の誘引)求人票が厳格な契約内容そのものではないとしても、あまりにも異なる場合には、応募者の信頼を損なう等の問題になります。有期と無期はまったく別物ですし、正社員とパートとの扱いも、賃金、福利厚生、退職金等重要な労働条件に影響する不利益に直結する問題なのです。

どうやら、根底には、採用行為は、企業が主導権を握っているため、ある種自由だという考え方があり、また、採用すれば、いかなる仕事をどのように遂行してもらう契約にするかは企業が決めるという考え方があるようです。
もし、企業リスクを少なくすることを思考するのであれば、上記のような法的に不利な要素をかかえることを回避しなければなりません。

【2014.3.10 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄】

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