コラム

 公開日: 2014-01-10 

★有期雇用契約の期間設定におけるリスク

有期雇用契約により労働する形態は、非正規雇用の一態様にカウントされ、その導入や運用は企業の任意に委ねられているかのように映ります。極端に言えば、雇用期間1か月とすることは妥当なのか、あるいは、初めに雇用期間1年、次第に6か月、3か月、2か月と短縮することは妥当なのかという例が実務上散見されます。

通常、労働者が何も意識していないことから労働問題に発展することは少ないようですが、知らないうちに労働者に感情的なしこりが残るようになると、上記のことに関係したリスクが表面化する可能性がいっきに増します。

たとえば、ア健康保険や厚生年金の強制加入の対象は、労働契約期間で言えば、2か月以内の労働契約で労働する労働者はその対象外になります。また、イ企業が従業員の育成をほとんど考えずに、雇用調整を重視する場合には、コスト的効率的に最も理にかなうのが先に触れました1か月という期間の労働契約になります。

しかし、こうした方法を企業にとって何のリスクもなく行っていいのでしょうか?たとえば、アについては、法は2か月以内の期間を定めて労働する者を強制加入から除外しています。しかし、2か月以内の労働契約を定めることの目的が、社会保険の加入を免れることであった場合は、違法性がまったくないとは言えないでしょう。

イについても、1か月という労働契約の期間を設定することに、公正かつ妥当な理由が認められるのであれば、違法性は問われないと考えられますが、都合のいい時にいつでも従業員の労働契約を解除したいという恣意的な目的が絡んでいた場合は、違法性が問われることにもなりかねません。

社会保険に関する法律が、2か月以内の期間を定めて働く者は、強制適用の対象にならないと規定しているから、2か月以内の労働契約は有効だと決めつけてかかるとリスクが生じていることもままあります。

法は、基本的に労働者の保護をそぎ落とす方法を歓迎しません。そこに留意する必要があります。少なくとも法律は、「・・その有期雇用契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。」と規定し(労働契約法17条2項)、目的と照らした契約期間に関する配慮義務を課しています。

有期労働契約だからと安易に考えると、思わぬリスクが浮上することにもなりますので、十分に検討して方向づける必要があります。

【2014.1.10 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄】

社会保険労務士15年、首都圏を舞台に、労務リスク対策と労働問題対応をメインに走り回っております。

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