コラム

 公開日: 2013-12-16 

◆「仕事減らしによる退職」に潜む労務リスク

近年、退職労働者の退職事由が違うことが原因で紛争に発展するケースが増えています。中立的視点でこの紛争を眺めてみますと、正しい退職理由で処理していないためにリスクを抱えることになるケースが多くなっています。

今回のコラムタイトルに取り上げましたものもその一つです。労働者のほうは、退職しているのですが、企業は退職届の提出を求めますので、退職届を受理することで自己都合退職と社内処理を行っているのです。

この点は、自己都合退職で処理をしている事案全般に言える共通事項のようです。この処理に非常に高い労務リスクがあります。それともう一つ、今回のテーマに関しては、「仕事を減らした」という点です。

何か経営に支障をきたすような失態があったなど合理的な理由があって、ある業務を外したなどの場合は、業務の減少も認められる可能性がありますが、合理的理由がないのに、仕事の内容を変更して、軽度な業務に変えた場合や単純に業務量そのものを減少させた場合には、認められない可能性が高くなると考えられます。

労働者の納得性を得られることは難しいうえに、紛争に結びつきやすいと言えます。こうした仕事量の減少という措置には、企業の恣意性や故意などが見えるうえに、仕事減らしの措置により、雇用契約上の業務遂行を困難にさせるものです。

結果として、このことを理由に労働者が退職した場合は、労働者にとっては自己都合ではありません。自己都合は、労働者の個人的事情による理由があってのことです。そうでない場合は、「追い出し行為」「パワハラ、いじめ・嫌がらせ」などの労働問題が生じやすくなります。

仕事減らしの行為は、メジャーな労働問題発生の大きなリスクをかかえることになります。法的には、使用者責任、職場環境配慮義務、不法行為などが問われることになりますので、仮に、上記のような行為があったことが会社として発覚した場合には、まず、社内調査を慎重に行い、本人にフィードバッグして真摯に話し合いを持つことが先決です。

そのような誠実な事後措置なしに、離職証明書や退職証明書などの書面の離職理由を自己都合退職とすることは非常に大きなリスクになることを心得ておくべきです。

【2013.12.16 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄】

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