コラム

2012-09-08

災害による復旧などのための36協定によらない時間外・休日労働

会社が災害を受けたことによる、電気、ガス、水道などの早期復旧、あるいは、業務運営が困難になったような機械の故障・修理などのため、従業員に作業をがんばってもらうことは普通に考えられるところです。

災害を受けたばかりで、にわかに専門業者を依頼することもままならないわけですから、当然の状況と言えます。そこで、このような臨時かつ緊急の場合に、自由に従業員を働かせていいのかが問われることになります。

通常の企業経営においては、会社と従業員代表との間で、法定時間を超えて労働させる、あるいは、法定休日に労働させることは、労働させるための明確な理由と時間や日数を特定する協定を結ぶことで、許されることになっています。

この内容は、労働基準法36条の規定に基づくことから、36協定と言われるわけです。今回テーマとする災害の復旧などのために労働させる場合は、どうなるか気になるところです。

もっとも、会社の業務を正常化するための復旧作業ですから、「そんなルールどうだっていい」というのが本音かもしれません。しかし、災害がある程度落ち着いて、問題になったときには取り返しがつきませんので、リスク回避の意味からも対応しておくべきと言えます。

復旧作業などを行っても、当初の36協定の範囲内であれば、今回のテーマは考える必要がありません。しかし、復旧作業などをすると当初の36協定の範囲内では無理だとなった場合には、労働基準監督署の許可を受けることで、当初の協定の時間外労働等を超えて働かせることができるとされています。

この場合の許可は、労働基準法36条ではなく、33条の「災害、その他避けることのできない事由」により、時間外・休日労働をさせる必要がある場合に出すことになっています。ちなみに、事態が急迫している場合は事後の届出でも大丈夫です。実際は、ほとんど事後的に出すことになると思われます。

この許可は、客観的にみて、災害などの避けることができない事態を想定しています。上記のような復旧作業などは、災害によるものであり、人命や公益を保護する点から緊急性が求められますので、十分に許可の対象となるわけです。

ただし、法定時間外の労働は、月45時間という上限を守ることが必要なのですが、これは、従業員の健康を害さないようにするための要請からきています。2011年の3.11の際にも、国は同様の方針を示していました。

加えて、経営者にとって頭が痛いのは、災害に合い、緊急事態にもかかわらず、法定の枠外の労働ですから、割増賃金の支払いが必要になってくることです。

災害時には、労働時間の管理がしにくい事情もありますが、これらのことは基本的に求められてきますので、平常時にインプットしておきたいところです。

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
首都圏中央社労士事務所
344-0031 埼玉県春日部市一ノ割1-7-44 ☎048-748-3801

「失敗しない人事労務の豆知識」でもQ&A公開(随時追加)しています。
       ⇒ http://www.cyuuou4864.com/category/1584282.html

公式ホームページ(中小企業向けサイト) ⇒ http://www.cyuuou606.com/
公式ホームページ(労務監査専門サイト) ⇒ http://www.cyuuou4864.com/
公式facebookページ ⇒ http://www.facebook.com/cyuuou606
公式twitter ⇒ https://twitter.com/cyuuou4864
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

この記事を書いたプロ

首都圏中央社労士事務所 [ホームページ]

社会保険労務士 亀岡亜己雄

埼玉県春日部市一ノ割1-7-44 [地図]
TEL:048-748-3801

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
主な業務実績等

★業務実績・企業の労務顧問、労務相談(年平均500件の対応実績)・中小企業の経営分析業務、管理会計研修・中小企業の人件費管理・中小企業の労務リスク対策・...

 
このプロの紹介記事
労務監査、労務分析による労務リスク対策を得意とする社労士 亀岡亜己雄さん

企業内の労務リスクマネジメントは企業の経営資源の適切な活用の第一歩(1/3)

「最近の労働問題は、人材の募集や採用、配置、異動、人事考課や昇給、昇進など労務管理にまつわる事柄のほか、経営者の発言や決めたことの押し付けなどが原因になっているケースが散見されます。データ上最多であるパワハラ、いじめ・嫌がらせに関しては、上...

亀岡亜己雄プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

採用から退職までの助言と支援、労働問題の事前措置と事後対応

事務所名 : 首都圏中央社労士事務所
住所 : 埼玉県春日部市一ノ割1-7-44 [地図]
TEL : 048-748-3801

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

048-748-3801

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

亀岡亜己雄(かめおかあきお)

首都圏中央社労士事務所

アクセスマップ

プロのおすすめコラム
◆「始末書を書け」と命じることはできるか
イメージ

日々、相談を受けている中で、多くの事案で登場するものの一つに「始末書」があります。「始末書」は、雇用社...

[ 裁判例に見る労務:始末書・誓約書等 ]

★定年前の無期雇用と定年後の嘱託有期雇用の労働条件の相違が不合理とされた例
イメージ

 嘱託有期雇用の賃金低下措置に問題を投げかける判決  一般に、多くの企業では、一定年齢により定年と...

[ 裁判例に見る労務:嘱託雇用、有期雇用 ]

◆メモやノート等はパワハラにおける損害賠償請求の役に立つのか
イメージ

パワハラは、労働問題の中でも証拠が残しにくいと言われている分野です。その足元をみてか、企業サイドは、...

[ 裁判例に見る労務・パワハラ ]

★パワハラの行為類型に関する情報の留意点
イメージ

 パワハラの当事者は、ネット上の種々の情報からパワハラにあたるか否かを判別する手掛かりを見出そうとし...

[ パワハラ ]

◆就業規則の抽象的な表現のあてはめはトラブルのもと
イメージ

雇止めや解雇といった、企業サイドがイニシアチブをとる雇用契約終了は相変わらず多くなっています。ハラスメ...

[ 雇用時事ニュースから見える労務 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ