コラム

 公開日: 2012-09-06  最終更新日: 2012-11-06

災害を理由とする従業員の解雇・雇止めについて

2011.3.11の東北地方太平洋沖地震の後にも、各企業で従業員の解雇が相次ぎました。やむを得ない苦渋の決断であったと察しています。なんとしても従業員を解雇せず、会社の再開を目指すという経営者の方もいらっしゃいました。非常に感動を覚えたのは記憶に新しく、忘れることはありません。

ここでは、解雇等ができるかという話を法の領域でしなければなりません。現実はなかなかここでお話しするようにはいきませんが、経営者の方は頭の片隅に置いておく必要はあります。雇用継続の可能性が少しでもある場合は、経営者の責任として線引きされてしまうからです。

大きなモヤモヤは、「解雇などが自由にできないことは知っているが、災害という特殊事情では、認められるのはないか」ということに尽きると思います。

法的には、残念ながら災害に特別ルールは設けられていません。解雇と雇止めでは、原理の当てはめ方が違ってきますので分けておきます。

解雇は、2つのメニューの2段階チェックをクリアしなければならず、クリアできない解雇は違法となってしまいます。解雇する(した)理由は、解雇してもいい理由なのか(合理的な解雇事由)、理由があたったとして、解雇というのは酷ではないか(社会通念上の相当性)というものです。

そもそも、民法上、解雇は自由なのですが、労働法ではこれを修正して、従業員に不利益にならぬよう規制をしているのです。「では、災害というのは、解雇してもいい理由にあたるのではないか」と考えがちです。このまま認めますと、「災害であれば解雇できる」になってしまい、従業員の保護が薄くなるということを考える必要があるわけです。

災害でも、従業員の雇用が全員可能な場合、一部可能な場合、まったく不可能な場合などの事実と実態を見る必要があります。火災・津波・爆発などで会社の社屋が跡形もなくなくなってしまい、そこでないと行えない業務実態であると認められるときは、まったく不可能として解雇もやむなしと考えられる可能性があります。

しかし、そのような場合でも、業務の内容によっては、他の場所でもできるといった場合には、解雇の理由に合理性なしとされる可能性もあります。もっとも、3.11のような状況のときには、多くの企業が、職種を問うまでもなく業務不能であったと思われます。

次に、雇止めです。雇止めとは、期間を定めた雇用契約で働かせている従業員の契約期間の更新をしないことを言っています。災害時には、契約期間の途中での雇止めも想定しておかなければいけないところです。

雇止めは、一般的な法的考え方としましては、従業員に雇用継続の期待が生じていた契約実態があった、あるいは、形は期間の定めがある契約でも実質は、期間の定めがない契約と変わらない実態があったという場合には、期限のない無期契約と同じように考えて、上記の解雇の2段階チェックを当てはめて判断します。ちなみに、この原理は、今回の改正労働契約法で規定に入りました。

ただし、災害時には、「やむを得ず」の事情が考慮されると考えられます。期間の途中の雇止めは、やむ得ない事由がなければできないことを法で規定されています。災害は、上記の解雇で挙げたような実態によりますが、「やむを得ない事由」に該当する場合も十分考えられます。

期間の途中でさえ、やむを得ない事由で認められる場合には、期間満了時の更新拒絶においても、やむ得ないとして認められる可能性が法的にはあると考えられます。

願わくば、災害といえども解雇・雇止めは避けたいところです。日本では、解雇や雇止めの前に何とか雇用を継続できないか努力するように要請が働いているのも確かです。

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