コラム

2013-01-21

減給、降格および解雇の有効性


今回ご紹介する判例は、大幅な減給のあげく、解雇か30万円で働くかと退職勧奨もあったうえ、最終的に解雇された事案です(コアズ事件・東京地判平24・7・17)。減給は、会社に裁量権はあるが、自由裁量で行うことが許容されているわけではなく、労働者に生じる不利益を正当化するだけの合理的な事情が必要とされています。実務的に、とても参考になります。

(事実)
 X(原告)は、営業開発部長としてY(被告会社)と雇用契約を締結し、就労してきたが、降給処分を受け、営業開発部長から降格された後、解雇された。Xは、降給、降格の各処分及び解雇が無効であると主張し、Yに対し、営業開発部長としての雇用契約上の地位確認を求めるとともに、減給分の差額賃金及び差額賞与の支払並びに解雇後の賃金及び賞与の支払を求めた。

(結論) 地位確認請求認容 未払賃金請求一部認容

(判旨)
 本件減給について、減給幅は30万円を超え労働者の被る不利益は甚大なものであるが、営業社員10名を採用する業務がどれほど切実な課題であるかが不明であり、労働者の勤務状況、勤務成績等の評価についても客観性がなく、恣意的な人事が行われていたこともうかがわれる事情も考慮すると、このような多額な減額を理由付けることはできず、減給処分は無効である。
 本件降格について、たしかに使用者は職位の引下げとしての降格につき人事権の行使として広範な裁量権を有するが、労働者に対する部下のいない営業担当部長の職への降格は、減給処分と同様の理由が用いられており、それらの理由に正当性がないことは前述のとおりであり、なお労働者に非違行為があったとは認められないことから、降格処分は人事権の濫用として無効である。
 本件解雇について、減給及び降格と同様の理由が用いられているが、それらの理由が2つの処分に相応しないものであるので、まして解雇の理由として主張できるものではないのであって、解雇は無効である。

【2013.1.20 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄】

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