コラム

 公開日: 2012-11-18 

災害を受けた後の生活保護の適用(2)

前回は、災害の後の生活保護の適用のテーマを考えるにあたって、生活保護の背景や制度についてご紹介させていただきました。

今回は、前回の基本的な内容を踏まえて、災害時に生活保護が適用になるのかについて整理しておきたいと思います。

調べたところ、阪神淡路大震災の際には、生活保護の申請がかなりの数でなされたにもかかわらず、ハードルが高く、認められないケースが多かったようです。

※阪神大震災では、避難所においては災害救助法等により必要最小限度の需要が満たされており生活保護の適用になじまないなどの災害時における生活保護法の運用に関する問題が提起された。

そこで、参考までに2011.3.11後の生活保護の対応を見てみましょう。上記の阪神淡路大震災の問題にも配慮し、2011年の3月17日と3月29日に、厚生労働省社会・援護局長保護課長通達「東北地方太平洋沖地震による被災者の生活保護の取扱いについて」(以下「3月17日付課長通知」「3月29日付課長通知」と言う)が出されました。

避難所では炊き出し、配給等で最低生活が確保されているのではないかにつきましては、「3月17日付課長通知」で、「----避難先の保護の実施機関が実施責任を負い現在地保護を行うものとすること」とし、さらに「被害者の状況を十分配慮し、生活保護の申請意思が確認された場合においては、申請権の侵害がないよう留意の上、迅速に対応すること」とされました。

また、「3月29日付課長通知」でも、避難所で生活保護が受けられることを当然の前提にしています。では、通帳などの資産を証明する書類が手元にない、自動車や自宅もどうなっているかわからないという、資産状況の確認ができない点にはどう対応するのか。

「3月29日付課長通知」では、避難所において保護費を支給する場合、必要な保護費を遺漏なく支給すること。被災状況によっては、生活実態の把握が十分できない場合も考えられるが、被災者の特別な事情に配慮し、不足が生じることのないよう配慮すること」と保護の適用が明確にされています。

さらに、義援金を受け取った場合の生活保護の適用はどうなるか。次官通知第8-3(3)アの臨時的に恵与された慈善的性質を有する金銭」として、収入認定の対象にならないとされました。

そのほか、自動車保有につきましては、保有を容認しなければならない事情がある場合は、生活保護が認められていたようです。避難先の世帯認定につきましては、一時的な避難先として居住している場合には、形式的に同一世帯とみることなく、適切な世帯認定を行うとされています。

避難所や仮設住宅から民間賃貸住宅への転居の費用につきましては、一時的な起居の場として利用している場合や火災等の災害で現住所が消滅し、または居住に耐えない状態になったと認められる場合に該当するとして、敷金、保証金、引っ越し費用等の支給ができるとされています。

津波で家が流され、家財道具も布団も服も一切なくなってしまった場合、炊事用具、家具什器具、日常着用する被服などの費用として支給対象とされました。

生活保護の支給は、立法で決まっているものの、災害の場合には、特別の細かな状況判断のもと特別の対応がなされる可能性があると考えられます。ここでご紹介したことは、2011.3.11の震災の場合ですので、あくまで参考ですが、長期の避難をする状況になっている場合は、何らかの対応がなされることが十分考えられるものと思われます。

(2012.11.18 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)

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