コラム

 公開日: 2012-11-17 

災害を受けた後の生活保護の適用(1)


今回と次回で災害を受けたことで、生活が大変になった場合に、生活保護が適用になるのかについてご紹介させていただきます。初回は、生活保護の背景や制度の基本について整理します。

生活保護は、マスコミ等で不正受給と受給者数の増加ばかりクローズアップされるために、基本的な制度の内容がきちんと伝わっていないようです。

生活保護の受給者数は、2012.7時点で212万人を超え、今では予算枠も3兆7000億に達しています。外国人の生活保護受給者数も4万人を超えているというのが現実です。

生活保護は、生活保護法の要件を満たす場合に適用になります。大きな目的は、国民として最低限度の生活を保障することです。困窮の程度に応じて必要な保護をすることになっています(生活保護法1条)。

よく、「働きもしないで、生活保護を申請して10何万ももらって・・・」という話が聞こえますが、一律で10何万支給されているわけではなく、生活の困窮の程度によるのです。

労働者が労務の提供をすることで保障される賃金は、最低賃金で保障されています。その意味で最低賃金法は、労働者が貧困になることを防ぐ防貧法であると言えます。会社は、最低賃金を割らないように労働者の最低生活の維持を考える必要があるわけです。

生活保護は、生活困窮になっている世帯を救済します(生活保護は世帯単位)から、生活保護法は、その意味で救貧法であると言えます。

大切なのは、生活が困窮する状態になった原因は関係ないことです。年金を納付せずに困窮する高齢者、職がみつからず困窮する若者なども対象になりうるわけです。

生活保護の認定にあたっては、資産や扶養の有無・内容がかなり厳格にチェックされます。同じ世帯の世帯員全員が、利用しうる資産、能力その他あらゆるものを、最低限度の生活の維持のために活用することを要件としています(生活保護法4条1項)。

また、民法上の扶養義務者の扶養は、生活保護法に優先することとなっています(生活保護法4条2項)。預貯金、不動産があれば売却して生活費に充てることが求められます。働くことが可能な方は、働くことを求められます。年金や手当などその他の制度で給付を受けることができる場合は、それらを優先的に充てなければなりません。

よく、受給する年金額と生活保護者の受給額を比較して非難するケースがありますが、年金を先に充てたうえで、生活保護を検討することになります。年金がまったくもらえず、貯金や資産もない場合は、生活保護の対象になる可能性は高いかもしれません。

それは、たとえ年金保険料の支払をしてこなかったために、年金が受けられず困窮する状況になっているとしてもです。生活保護は、申請時点での生活の困窮の程度をみますが、原因を含めて過去は関係ありません。申請時のその時点でどうかなんです。

生活保護は、世帯収入と厚生労働大臣が定める基準により計算されます最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、生活保護を利用できるという制度です。

ちなみに、生活保護法が定める保護の種類は、生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の8つで、これを要保護者の必要に応じて、単給または併給されることとなっています(生活保護法11条)。

以上、今回は、生活保護の基本的な内容をご紹介させていただきました。次回は、今回の基本を踏まえて、災害の場合との関係についてご紹介したいと思います。

(2012.11.17 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)

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