コラム

2012-11-11

電力節減のために業界で交代休業制を実施する際の留意点


地震、台風などの災害で電力供給に影響が出た場合や季節的な要因で節電をしなければならなくなった場合に、各企業でもさまざまな節電の方法が検討されるところです。

2011.3.11後は、国の旗振りのもと、計画停電の対策に取り組んだことは記憶に新しいところです。当事務所は埼玉県にありますが、町中の明かりが消える様や信号機がついていない道を走るなど初体験の連続であったのを覚えています。

企業の場合、一般家庭と違いまして、消費電力が大きいことや業務上安易な節電は致命的になりかねないことを考えますと、節電の方法も慎重な検討が必要になると言えます。1日の時間帯の中で、電気の使い方を調整する方法も対象になります。

しかし、実際には、企業単独で行うと負担も大きく、懸命に節電に取り組む企業とあまり熱心に取り組まない企業とでビジネスへの影響度合いに差が生じることを懸念して、業界単位で取り組もうとする動きがみられるところです。

たとえば、百貨店やスーパーなどの業界では、あるスーパーで定休日を火曜日、あるスーパーでは水曜日を定休日など輪番で休業を実施するという交代休日制がみられ、今回のテーマになっています。

収益上のテーマもありますが、コラムの特性上、労務的な話をしなければいけません。まず、上記のような休業の交代制を実施する場合に、従業員の労働条件の不利益変更にあたるのかというものがあります。

休日が多くなったり、労働時間が短くなったりしていなければ、不利益に変更された問題は関係してこないと言えます。

ただし、子育て中や介護中の従業員の生活実態にまったく配慮せずに、早朝や深夜に出勤する必要がある業務や部署に配転するなどの命令は、トラブルの原因になりかねませんので避けるべきと思われます。

現代は、労務の動きにおいてワークライフバランスが大きな命題になっています。従業員の生活の事情までは知らんというわけにはいかない時代であることも意識する必要があります。

次に、交代制の休日になったことで、その分、給料を減額したり、パートタイマーや派遣社員の業務が減ったり、期間雇用の従業員の雇用を打ち切ったりするようなことがありますと、労働条件の不利益変更にひっかかってくる可能性がでてきます。

また、交代制の休日の体制にしたことで、いくら業界で取り組む節電のためとはいえ、休日以外の勤務時間が長くなったりするのであれば、そのことも労働条件の不利益変更にひっかかってくる可能性がでてきます。

仮に、労働条件の不利益変更に該当するような休日体制になるのであれば、従業員の士気低下にも影響しますので、従業員に説明し就業規則を変更するという最低限のあてはめはしっかりやるべきです。

それでも、問題が起きた場合は、法令や判例のルールにあてはめて判断することになりますが、会社としまして、堂々と説明できるレベルを確保しておくことが防御になりうると考えます。

他にも、有期雇用の従業員の雇止めや派遣社員の打ち切りなどの事態を招かないような制度設計が求められるところです。最終的には、いかに配慮した休日体制であるかが重要になると考えられます。

(2012.11.11 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)

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