コラム

2012-11-08

災害で避難した避難所からの通勤途上のけがの取り扱い


大きな地震の直後に、住居に支障が出た場合は、緊急で避難所に避難することで安全を確保するのが当然です。2011.3.11の際にも、数十万人という規模の避難民が出ており、かなりの従業員が避難所から通勤していたものと思われます。

地震以外でも、台風や洪水、津波などによって危険を察知した場合にも避難をします。避難するほどの状況ですから、その日に帰れることは稀で、最低でも数日は避難所での生活になることが予想されます。

災害の後に、会社の従業員が、上記のような避難所から通勤することは起こりうることです。会社も直ちに想定しなければなりません。このとき、従業員が、通勤途中でけがをした場合にどのように取り扱ったらいいでしょうか。

ここでは、通勤災害がテーマですが、通勤の経路や方法よりも、「避難」ということがカギになります。これは、避難する事情にあったのかといことです。また、避難している「場所」もカギになります。こちらは、通勤の場所といえるのかということです。

まず、避難した理由ですが、従業員の自宅が崩壊した、津波で流された、自宅が水浸しになったなどの理由の場合は、避難所に身を寄せることはもっともなことです。避難する理由として認められるでしょう。

自宅が崩壊はしていないが、寝泊まりするには危険な状態といった場合も、避難する理由として認められると考えます。

自宅はなんでもないが、周囲の建物の破壊があり、危険があるという場合も、避難する理由として認められると考えます。

余震の可能性があって、避難しておいたほうがいいという判断に正当性がある場合も、避難する理由として認められると考えます。

しかし、従業員の自宅は大きな被害は受けず、住めることは住めるが、念のために避難所で過ごすことにした場合、親族や関係者がすすめるので避難所で過ごすことにした場合などは、通勤途上でけがをした場合、避難する理由が通勤との関係で問題になってくると考えられます。

次に避難した場所ですが、避難所は問題なく認められます。親族や知人の家も認められると考えていいでしょう。

場合によっては、他人が「ここにいていいよ」と親切心から言ってくれて、そこに避難する場合もありますが、その場合も避難場所として認められるでしょう。

通勤との関係を考えた場合、避難するだけの妥当な理由があって、緊急時の危険の回避ということを考慮したうえで、避難場所として常識はずれの場所でなければ、通勤の場所として認められるものと考えられることになります。

したがいまして、このような場所からの通勤の途中でけがをした場合は、通勤災害の対象になってくる可能性があります。

あとは、通常の通勤経路の大きな逸脱がないこと、緊急時とはいえ、状況から通勤方法として考えられる方法であることを要件に具体的に判断することになります。

災害後に避難場所から通勤してくる場合は、付加的要件が加わり扱いが少し異なってきますので、会社としましては、整理しておき従業員に案内しておきたいところです。

(2012.11.08 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)

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