コラム

2012-11-07

地震のため帰宅途中の避難によるけがの取り扱い


通勤している方にとっては、いつ起こりうるかわからないというのが地震です。従業員の通勤ルートは個々人みな異なりますが、その途上でのけがをどのように扱えばいいでしょうか。

いくつか例をあげてみますと
・地下鉄の駅のホームにいて、大きな揺れがきたので、地上に出ようとして階段を上ったら、足を踏み外してけがをした。
・路地を歩いていて、大きな揺れがきたので、急いで走っていたら転んでけがをした。
・ビルの谷間にいたときに、大きな揺れがあり、近くの公園に走って避難する途中でけがをした。
・海沿いの道を歩いていて大きな揺れがきて、津波警報も出ていたことから、高台の小学校に避難する途中にけがをした。
・自転車で帰る途中に、大きな揺れがきて急いでペダルを漕いでいたら、道の左側にあった木にぶつかりけがをした。

まず、通勤は、その経路が自宅と会社の経路として合理的であること、つまり、大きく外れていたり、まったく関係ない場所にいたりしていないことが必要とされています。

また、通勤の手段が合理的な方法であること、つまり、通常とりうる方法によることが必要とされています。

今回のテーマの場合は、いずれも通常の通勤の途中における地震ですから、通勤の条件は満たしていると考えられます。

そのうえで、今回のポイントをみますと、正式な避難指示があった場合、津波警報が出ていた場合、そうした指示・警報がなにも出ていない場合などで違いがあるのかという点になります。

避難指示や津波警報などが出ていた場合の通勤途上のけがは、業務に付随する行為と認められ、通勤災害にあたると考えられます。津波警報が出ていて津波が来なかったとしても同じように考えられます。

では、そうした指示・警報がなにも出ていないのに避難している途中でけがをした場合はどうでしょうか。この場合は、状況により結論が異なります。

指示・警報などがなくても、周囲の人が「逃げろ!」「逃げた方がいい!」とアドバイスや指示をしていたことによって避難している中でけがをした場合は、通勤途上のけがは業務に付随した通勤災害と認められると考えられます。

しかし、地震の揺れが小さいもので避難するほどのものでなかったり、津波が来るような事情もないと思われるのに、かってに「津波がくるかもしれない」と受け止めて避難したという場合は、避難する必要があると信じる事情がなければ、その避難途上でのけがは通勤災害として認められない可能性が高いと考えられます。

会社としましては、地震があったことで、従業員がけがをした場合は、通勤の状況、避難の状況等をよく聞きとりを行ったうえで、明確ではないが、通勤災害に該当すると思われる場合は、行政へ確認をするか、一旦通勤災害の書面を書いて行政に申請するかしたほうがいいということになります。

場合によっては、行政でも判断が迷うケースもありうることですので、電話等で尋ねただけでは結論が出ないこともあります。申請書を提出して確認するのも一案です。

(2012.11.07 特定社会保険労務士 亀岡 亜己雄)

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