コラム

 公開日: 2018-01-26 

断熱材で決定的に大切なこと

住まいの断熱工法


 家づくりの質問などをいただくとどうしても寒い時期は断熱のお話が多くなります。
断熱の質問をするくらいですから皆さん断熱が大切なことは十分理解されています。
ただ、世間の風潮とか、よく言われることとか、CMからの知識なのか、おそらくそのような影響かと思いますが、「外断熱」が優れているとお思いの方が多いように感じます。

 壁の中で断熱することを「充填断熱」または「内断熱」などといいます。
それに対して壁の外で板状の断熱素材を張る工法を「外断熱」または「外張り断熱」といいます。
これは工法の違いであり、断熱に関してどちらが優れているということではないのです。



断熱材は熱を伝えないのではなくて伝わるの遅らせるだけ

 断熱材の目的は住まいを冷やしたり、暖めたりすることではなく、外気の熱の影響が室内に伝わることを遅らせることです。
 真空素材でもない限り熱を伝えないことは無いのです、真空であっても輻射で熱は伝わりますが、どれだけ熱の伝わりを遅らせることができるか、例えばどんなに優れた断熱性能であっても少しずつ熱は伝わり、やがては内と外の温度は平衡状態になります。
 熱を伝えやすい鉄板のフライパンであってもコンロの上で火にかけても直後であれば手で触れます。やがて熱が伝わり触れることもできなくなります。
フライパンは触れられなくてもその上に置いたお肉はお肉の断熱性でしばらくは触れます。

 断熱材も同じなのです。目的は熱を伝える時間を遅らせること、朝7時の気温が例えば20度で室内も20度であったとします。
外気温はどんどん上がり14時には30℃になりました。気温というのは夏の日本では14:00頃がピークで徐々に下がります。
外気温が伝わりにくい断熱材を使えば外気温と平衡状態になる以前に外気温が下がってくれる、朝7時から徐々に熱が断熱材を伝わり室温が25度まで上がったけれどそのときが14時であればもうそれ以上室温は上がらないという考えです。

断熱材の性能が高ければこれが22度かもしれないし、室内まで熱が伝わりきらず20度のままかもしれません。

外断熱・内断熱、工法は問題ではない。

 断熱材で大切なのは「外断熱」「内断熱」ではなく、断熱素材の性能、特に大切なのはその「厚み」と「伝導率」熱を伝えにくい素材を厚く使うことなのです。
いくら性能の良い「熱伝導率」の小さな素材を使っても薄すぎてはだめなのです。

 外張り断熱でよくつかわれるフェノールフォームという板状の高性能素材があります。
数値では0.022W/mk
自然素材系の断熱材である、セルロースやウールの性能は0.038~0.04W/mk程度なので熱の伝わりにくさとしては倍近い性能があります。
これだけを比べたら自然素材は圧倒的に性能の低い素材となりますが、外断熱で使われる板上の素材はほぼ30mm程度、無理して使っても50mm、外壁に張り付けるという意味で施工上厚すぎると垂れ下がりなどの問題が出て来るのです。

熱の伝わる時間で考える。

 では単純に熱の伝わる時間が試算してみます。
 フェノールフォーム30mm 熱伝導率0.022W/mk(熱伝導率:1時あたりどれだけ熱が伝わるか)=大きいと熱が伝わりやすい。
熱が伝わる時間
0.03m/0.022W/mk=1.3636 60進法に直すと≒1時間22分
窓の性能やいろいろなことが住まいの断熱には関わりますが単純に素材の暑さで検討すると1時間22分で30mmの外断熱用フェノールフォームは室内に熱を伝えるということ。

 約半分の性能のセルロースを壁に充填すると。壁厚が4寸角を使い12cmであれば120mmが充填厚として使えます。
セルロース120mm 熱伝導率0.04 W/mk
熱が伝わる時間
0.12m/0.040W/mk=3.00 60進法に直すと≒3時間
3時間熱を伝えないということになります。

 素材としての性能も確かに重要なポイントだけれども決定的に大切なことは厚みを持たせるということ、いくら性能が高い素材でも薄くてはすぐに熱が伝わる。

これは素材の厚みだけのお話で、充填断熱には壁の中の筋交いや下地材により断熱が壁厚より薄くなってしまう欠点もあります。
また、外断熱には気密の取り方や、長い期間を見た時の躯体への追従性の低下から隙間ができやすい。などの欠点があります。
それぞれ良い部分悪い部分があり、それぞれ欠点を補う施工方法があります。
コストに対しての性能値という問題もあります。
外断熱・内断熱という工法の違いで性能を判断するのは断熱の観点では間違いです。

工法に惑わされない。
素材の性能に惑わされない。
断熱性能で決定的に大切なのはその厚みなのです。

断熱のお話などこちらにもあります、よろしければお読みいただき、住まいの参考にしてください。
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