コラム

2015-12-11

「神様が近い家」っていうとなんですか気後れしますが「普通につくる家」がいいと思います。

神様が近い家


 人々が穴倉から抜け出し、生活のための棲み処を建てるようになった古代、竪穴式と言われる棲み処を持つようになったころから日本の住まいには柱がありました。
それは空間を構成する部材というよりは「住まい=暮らし」を支えるシンボルとして存在し、ひとびとの様々な思いが込められてきたのだと思います。

 古代より樹齢を重ねた巨樹には神が宿り、「依り代」として大切にされてきました。
そのためか神様を数えるときには「柱」を使います。
一柱、二柱と数えます。
 木には命があり、魂が宿るという考えが自然発生的に起こり、神道につながったと聞いたことがあります。
確かにいまでも生物的には命が終わっていても柱は生きているというようなことを関築関係では普通によく聞きます。
まあ柱を擬人化して付加価値を持たせようというつくる側の都合の良い言い方のようにも聞こえあまりこのいい方は好きではありませんが。



 住まいのシンボルとして民家に大黒柱が使われ出したのは近世初期、安土桃山時代ころからと言われています。
大黒様は田の神であり、豊作を祈りながら暮らす。
そんな自然な思いから生まれた神様です。

 住まいを支える太い柱に大黒様の札や像を祀り室内空間を構成する家づくりが行われるようになりました。
ちなみに雅な方たちの住まいには柱は見えていても大黒柱はありません。
武家屋敷にも柱は見えていますが大黒柱はありません。
収穫を祈る神様ですから農村に大黒様はいるのですね。



 また大黒柱に限らず柱をめぐる信仰や行事は全国にたくさんあります。
諏訪の御柱祭りなどは全国的に有名です。また神社に使う柱を伐採するときや巨木と言われるに樹木を伐採するときには神事を行い、祈りをささげ、御神酒、塩を捧げます。
人よりも長い時間生きてきた樹木に敬意を払い、使わせていただくという気持ちです。
そんな樹木が柱となり家の中に露出し、屋根を支え、暮らしを、家族を守る。
そのありようは家を支える構造要素だけではない精神的なよろどころとなりえるのは確かな事なのです。

 現代につくられる多くの住まいでは柱が見えません。
あるにはあるけれど張りぼてで隠してしまいます。
また工法によっては柱という部材さえありません。



 もちろん耐久性のため、防火のため、断熱のため、など優先事項を考えた結果、壁の中に置いておいた方がよい柱もありますが、室内では「基本見える」が自然なのだと考えます。
家づくりという行為から、その中で行われる毎日の暮らしも含め、経済性、効率性のみを優先するのであれば、住まいはただの箱でよいのかもしれません。
そのような考え方の家や暮らしを否定するものではありません。

 しかしながら幼いころから住まいの中にちゃんと見える柱がり、屋根を支える構造が見える家に暮らすことって日本に生まれたのだからやらなくちゃ損!
木の文化がある国に生まれたのですから、木は観光先で目にするものでは無く、暮らしの中に普通にあるもの、家=暮らしを支える部材としてそこにあるものとして考えていただきたい。

 柱が見えるからどういうよい事があるのかと問われると、
「なんだか安心するじゃないですか」とか、
「構造力学の勉強になります」とかしか言えない私ですが、少なくとも竪穴式住居から大黒様へとつながる家づくりの永劫の流れの中に身を置き、知らず知らずに伝統文化を体験できていることだけは確かなのです。
張りぼての家よりは少しだけ神様が近いんじゃないかな。
そう思いながら柱が見えるあたりまえの家を普通につくるべく仕事をしています。



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