コラム

 公開日: 2014-09-02 

伝統に学ぶべきものが多いがそれだけではだめ

伝統に学ぶべきものが多いがそれだけではだめ

伝統に学ぶべきものが多いがそれだけではだめ

日本の住まいは自然の中で共棲する暮らしを前提とし、自然の恩恵を受けることを前提に考えられてきました。

高度成長期からそのようなスタンスの家づくりは敬遠され、いつの間にかごく少数の特殊なものとして残る程度になりました。
その隙間を埋め圧倒的なシェアを獲得することになったのが、ハウスメーカーの工業化住宅ですが、もともと工業化の目指したものは合理化と省力化にローコストです。
それにもかかわらず、地域工務店の家よりはるかに高く、またユーザーもそのような「ブランド化商品」としての家を「頑張って買う」ことにステイタスを覚える暮らし方が増えてきました。



そのような家づくりの現状に「家は買うものではない」であるとか「伝統回帰すべきである」とか頑張っている施工者もいますが、その多くの人たちは工業化の良い部分や、先進的な考え方を伝統工法に取り込もうとはせず、どうも伝統か否か、というスタンスを取ることが多いように感じられます。

伝統に学ぶべきこと、昔の暮らしを思い出して活かしてみることは今の時代大切な事だと考えていますが、それだけではいけないのです。

今の、これからの社会に暮らすには伝統を学ぶだけでは足りないのです。
「土壁が蓄熱性があり暖かい」という人もいます。
確かに蓄熱性はあるでしょう、では数字で表してください、ハウスメーカーのように数値化してくださいというときに感覚だけでは説明不足です。



技術や風合いや味わいがあるつくりに加え、建物外壁の熱還流率から熱損失係数Q値の設定に始まり、室温の想定からそれに対するコストバランス等を計算し、現在の基準に対してどのような性能の家なのかを伝えていくことが大事なことなのだと考えます。

温熱環境しかり
耐震強度しかり
数字であらわすとそれに対するコストが見えてきます。
それはその家でどのように暮らすのかが見えてくることにもなります。

自然素材系の断熱材のみでも熱損失係数Q値2.0W/㎡K、(次世代省エネ基準2.70)
外皮平均熱還流率0.46W/㎡K(H25年度省エネ基準0.87)を大きくクリアーすることが出来ます。
それ以上は自然素材系断熱材だけでは困難です。
自然素材系を暮らしに近い部分い使い、外部にウレタンなど工業化断熱材を使うことになります。

最近ではQ値1.0という高性能を謳うメーカーも出てきました。
Q値は、使う暖房エネルギーとほぼ比例します。
たとえば、Q値が2.7W/m2・Kの次世代省エネ基準レベルの住宅で暖房した場合、
1か月、200kWの電気が必要だったとすると、
その時の電気代は、単価が1kW 24円とすると、4,800円となります。

仮にQ値が1.0だと200kw*1.0/2.7=0.75KW×24=約1.800円という計算ができます。
4800円 → 1800円
計算上ですがこのくらいの差が出るのです。
もちろんそのためにはイニシャルコストを掛ける事になるので元が取れるとか取れないとかいう話にもなるのでしょうが、確実に暮らしのランニングコストは下がります。

自然素材を使いながらもどこまで行けるのか、しばらくはそんなことがアーキクラフトのテーマです。

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