コラム

 公開日: 2014-08-26 

自然素材系断熱材に期待しすぎない 調湿性能

住いに使う断熱材を原料から分類すると大きく分けて3つ


一つが化学物質・石油由来の工業製品
一つがガラス繊維などの鉱物系
一つが羊毛や木の皮などの自然素材系です。
セルロースファイバーなど古紙を再利用した自然素材とも工業製品ともいえるものもあります。
これらをさらに大きく分けると無機質系と自然素材系に分けられます。

自然素材系断熱材に期待しすぎない

 内部結露は壁の中で起こる結露の事で、断熱性能を落とすばかりか、知らず知らずのうち木部を腐らせ、カビを繁殖させ健康にもよくありません。
室内と外の温度差がある北側の壁面や屋根面が危険な個所です。内部結露は木造の場合だけでは無く、鉄骨の建物でも起こります。

無機質系と自然素材系の湿度に対する性質

 無機質系断熱材は「吸水しても吸湿しない」素材です。
たとえばガラス繊維の断熱材グラスウールはガラスなので吸湿はしません。
 ガラス繊維の断熱材の中にある程度の湿気が入ると繊維の隙間は給水し水滴として水を貯えます。この時に壁の中と外で温度差が大きいと結露水として水滴化し土台などの木部を腐らせます。
このような性質による問題が過去繰り返されてきたため現在では施工方法も確立され、製品自体もビニールのシートでくるまれ、内部に湿気を呼び込まない工夫がなされています。



 また、施工者側でも内部の防湿層の必要性が理解され内部結露の危険性も少なくなりました。

 では自然素材系はどうでしょうか。
ウッドファイバーやセルロース、羊毛などは木と同じく調湿性能があり、湿気を出したり吸収したりできます。
調湿系断熱材とも云われ、内部結露対策に有効と言われています。
そのため、屋内側の防湿層を安易に省略しても良いと考える施工者や、屋外壁面に湿気の逃げ道をふさいでしまうにもかかわらず構造用合板を張ってしまう人がいます。
これは正しい施工方法ではありません。



 素材によっては室内側防湿層を省略しても省エネルギー対策の防露対策基準をクリアーできるような大臣認定を取得している製品もあります。
 また内部結露の危険性は地域の気候データから結露計算を行うことで回避することが出来ます。

 確かに自然素材系の断熱材は調湿性能がありますが、内部結露の条件はさまざまあり、自然素材系断熱材だから結露しないとはいえません。
また自然素材系断熱材だから室内の湿気をコントロールし、快適に過ごせますというのもいい過ぎです。

 内装に使う木材と同じ、そのような性質はあるけれども室内環境に体感できるほどの効果は期待しないことです。
窓を開ければどっと湿気は入ってくるのですから、断熱材や内装材の調湿能力はあるにしろ体感することはないと考えてください。



まとめ
〇自然素材系だから内部結露しないと考えるのは危険
〇自然素材系は壁の構成、外部通気層などの湿気の逃げ道が必要で、構造用合板などとの相性は悪い。
〇室内調湿するほどの効果は期待しない。
〇防湿層を省略できる大臣認定がある。

 防湿層を省略できる利点は室内を防湿層ビニールでくるまなくてよいということで、グラスウール等では結局室内をすべてビニール(防湿フィルム)でくるむことになる。
また石油由来の断熱材でも同じく、石油でくるまれることになるのでこれは感覚的なお話になりますが、ビニールと同じく個人的には不快です。

※防湿層を省略できる認定を受けていても温度差によっては結露の危険はありますので地域により注意が必要です。

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