環境にも体にも優しい木の住まいを考える建築士
コラム
公開日: 2014-08-04 最終更新日: 2014-12-02
断熱材はいろいろあるみたいだけど何がいいんだろう。
「断熱材はいろいろあるみたいだけど何がいいんだろう。」
依頼者と話をしていて皆さん断熱材に関心が高いことを実感しています。
断熱材を選定するに当たっては何を優先して設定するかで変わってきます。
まず、「工法」により選択肢が狭まります。
住宅の断熱工法は大きく分けて2つあります。一つは「充填断熱」といって壁の中に断熱材を充填していく方法と、「外張り断熱」といって壁の外部側に断熱材を張っていく工法です。
もちろん一つの建物で両方の断熱工法を採用する場合もありますし、複合断熱といい充填断熱+外張り断熱という工法もありますが、基本的にそれぞれの断熱工法で使える断熱材は限定されます。
次の選択肢は「価格」、工法や断熱材により価格差があります。
「環境性能」という選択肢もあります。製造エネルギー負荷やリサイクル率、環境負荷などでの選択肢です。
どんな断熱材がいいかと断熱材に興味があっても明確な基準をお持ちの方はまれですが、設計者としてお話をしているとおのずと方向性は見えてきます。
断熱材の検討要素は耐久性、経済性、施工性、環境性能、防音性など多岐にわたりますがすべての要素を完璧に満たすものはありませんので話しをしながら優先順位を決めていくことになります。
断熱材の種類は主に原料によって分類されます。
鉱物系
プラスチツク系
発泡系
自然素材系の4つです。さらに細かく分類すると20種類以上になると思われます。
とにかく価格という選び方であれば鉱物系が有利となります。
外張り断熱にこだわればプラスチック系が使いやすい素材です。
充填断熱では鉱物系、発泡系、自然素材系となり、環境負荷やリサイクルを考えれば鉱物系か自然素材系となります。
自然素材系は性能の割に価格は高めですし、素材自体は環境負荷が少なくても輸入に頼る素材では輸送エネルギーなどでトータルに環境負荷が低いとは言えない物もあります。
最近は省エネの流れから新しい工法や素材が開発され、また輸入されるようになりましたが、注意しなければならないのは耐久性です。
壁の中に入れられた断熱材はそう簡単に交換はできません。
これまで長年使われてきた断熱材は、欠点や問題点が洗い出され、対処方法や施工方法が確立されています。また、現場サイドでも慣れているため施工ミスなども起こりにくくなっています。
新しい素材の耐久性は机上の想定によるところが大きく、実際の使用状況での経年変化などの想定は難しいところです。
現場で吹き付ける発泡系に関しては近年フロンや代替えフロンの使用が制限された関係から発泡方式を変えたところ、接着性能の低下や吸水性の問題などが発生しました。
これらの問題は改善されているようですが判断できるデータが乏しく不安が残ります。
自然素材系はウールや古紙など輸入に頼るものが多く、輸送にかかるエネルギーや現地での製造では意外に製造エネルギーが高くなることが指摘されていますので、環境負荷を考えた上での選択では注意する必要があります。
このように沢山の選択肢がある断熱材です。
予めハウスメーカーや工務店では使用する断熱材を決めているケースがほとんどです。
建て主さんが迷わなくていいという利点もありますが、なぜその素材なのかを聞いて納得することも必要だと思います。またどういった暮らし方をしたいのかを考え自分たちの住まいに使う断熱材を決めていくのも納得のいく住まいをつくるには大切な事だと考えます。
現在一般的に採用されている断熱レベルでは、この省エネの流れの中で近い将来必ず性能不足となります。
少なくとも次世代省エネレベルを基本とし、さらにそれ以上の断熱性能を検討していくべきだと考えています。
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