コラム

2012-09-04

自然素材系断熱材の使い方 「木の繊維・ウッドファイバー」



 全国的に省エネが推奨され、使用エネルギーを低く抑えていくことが最重要課題となっている住宅業界です。
創エネや蓄電・売電とプラスアルファーの方策も大切な取り組みですが、いずれにしろ基本はその家の断熱性能を上げることです。

 断熱材は様々な素材が使われ、またその使い方・施工方法も外断熱や内断熱など様々です。
ではどのような施工方法でどの素材を使うのがいいのか、一般の方が自主的に選択するのはとても難しいことだと思います。
 一般的には選びようがないので工事を依頼する会社の標準仕様だからという消極的理由で納得されている方が多いようです。

 建物の工法によっても相性があります。鉄骨系の骨組みでは、鉄骨自体の熱伝導率が高いため外断熱にしないと壁内結露の可能性が大きく危険です、これは建築業界では常識でしたが、鉄骨メーカーが外断熱をセールスしだしたのはつい最近のことです。

 対して木造)軸組み工法に相応しい工法はどうでしょうか、木材は鉄と比較すると熱伝導率(熱の伝えやすさ)は低い材料です。鉄に比べると1/400程度になります。
つまり外の温度に影響されにくく、外断熱をする意味が鉄骨系住宅とは違ってきます。木造での外断熱は、関東以北での寒冷地で内断熱との併用ができるため、さらなる断熱性向上のために有効な手段です。



 アーキクラフトは埼玉が主な仕事場で、設計する建物は地域の材料を使った軸組工法ですが、この地の断熱は木造軸組みの場合、建設コストや光熱費など総合的に考えて内断熱で十分対応できると考えています。
使う断熱材は「木の繊維」ウッドファイバーをメインに、ウール断熱と組み合わせて使っています。
ウッドファイバーは国産の間伐材の有効利用であること、作っているのは北海道で少し離れていますが、ウール等輸入品に比べ輸送にかかるマイレージが圧倒的に低く、製造エネルギーもウールと同等に低く抑えられた環境負荷の小さな素材です。

 また、断熱性能も高性能グラスウール並みにあり次世代省エネ、長期優良エネルギー等級もクリアーできます。
さらに最大の特徴は吸湿・放湿の性質があり、壁内に入った水蒸気を壁内結露させずに外部に排出できることです。この性質は木材の持つ性質と同一なもので木軸との相性は最高です。

 ただ使い方を間違うと逆に壁内結露に悩まされることになります。何の迷いもなく最近では強度が上がるからか、筋交いを入れるのが大変だからか、外部に構造用合板、またはそれに類するべニア系の材料を張り巡らせる家つくりが流行ですがこれはいけません。放湿性能が阻害され結露の危険が増します。

 基本はべニア類を外部に張らない、壁屋根は必ず通気工法を採用するということです。
結露計算のもと確かな考えを持って使わなければいけないのが自然素材系の断熱材です。これはウールやセルロース断熱でもいえることで、設計者・施工者の材料に対する理解度が問われます。



 また、地域によって壁内結露の危険性は変わります。
自然素材系断熱材でも寒冷な場所では、放湿性能が追いつかず、壁内結露の可能性もあるので、室内側にバリアが必要になります。

 自然素材には正しい使い方があります、正しく使えば、グラスウールや石油系の断熱材のように化学物質でくるまれた家にならないで済みます。
ウレタンや発泡系の断熱材は使う側にとっては使いやすく便利な材料ですが、製造エネルギーも大きく、化学物質にくるまれた家になってしまいます。



 グラスウールは鉱物ですが、放湿性能が低く湿気をため込みますので基本は全面バリアを室内に張って使います、バリアはビニールです。化学物質にくるまれた家になり、いくら内装に自然素材を使ってもその裏はすべてビニールなのです。
私はそのような環境は人間という動物がすむ環境としてはよくないと思っています。
出来るだけ化学物質を肌から離して暮らしたいと考えています。

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